安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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決選投票の期日まで決めた最高裁

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〈 Sat, 04 Dec 2004 〉


●超スピード審理
ウクライナ最高裁の判定は予想より早かった。20人の判事が証人の数を切り詰めて審議5日で結論を出すスピード判決ができるとは、小生思いもよらなかった。しかも再選挙の期日まで決めましたね。野党は選挙の不正判断と早期決戦投票を最高裁に提訴したのであって、再選挙の段取りまできめてくれとは頼んでいない。ずいぶん踏み込んだ判断です。

いくら決戦投票の要求があっても、選挙日を3週間26日までといった行政分野まで最高裁が指定していいのだろうか。不正行為があったのでヤヌコヴィッチ当選は無効、とそれでいいはずだ。権利行使に逸脱ありとおもうんだが・・・

伝えられるように選挙に不正はつきもの、必ずあると誰もが知っていたのでごまかしは両陣営にあり、ユーシェンコ側でも不正があった報告がある。もちろん与党の方が多かったが、与党側は最高裁への反論申し立てをゼンゼン行っていないのです。これじゃ踏み込んだ判定が出ても文句はいえない。

●クチマ大統領は小細工や
クチマ大統領はもうすこし公平な人と思っていたが、ユーシェンコ落としに小細工を用いてかえって騒ぎを大きくした。はやく決選投票でヤヌコヴィッチ陣営を説得すればよいものを 
1)内閣総辞職、全面的に候補者を新しくして選挙をやりなおしする
 2)ヤヌコヴィチが大統領になりユーシェンコは首相でどうか
 3) 憲法を改正して大統領権限を縮小する
などと、セコイ手段を使う。そのたびユーシェンコ支持者は怒って独立広場から立去らず、オレンジ革命の意気ますます盛んになるのでした。

●参集者は禁酒、質素な炊き出し
最高裁の決定でキエフはオレンジ組が驚喜最高にわいている。疑問だった炊き出しが、紙コップにトマトスープという質素なものですがTVで拝見。ふつうこういうシーンはビールや酒を飲み歌い踊りだし、クラクションを鳴らして傍若無人に振る舞う。中東ならガンを空にぶっ放す。ところがキエフの喜び方はたいへん群衆道徳をわきまえ常規を逸しない。

21日から13日間も群衆が気勢をあげるのに抑制があるのはどうしてか。最高裁決定の直後に独立広場で演説したユーシェンコが「今日からウクライナは民主国家になった。明日土曜の夜はお祝いするので帰らないよう」そして「またひきつづき参集者は禁酒を守るよう」。そうだったのか。広場はウオツカ禁止なのでした。そういえばグルジヤの民衆がシュワルナゼを追い出したときも3週間整然としたデモだったが、その秘密は禁酒だったのかしら。

●プーチンの見込み違い
プーチンと連絡協議してクチマ大統領は完敗。ヤヌコヴィッチに祝電を送り、のちに「選挙結果は街頭でなく法廷で決めるべきこと」と釘をさしていたプーチンはみごと法廷にしてやられました。ロシア法廷をプーチンが左右するように、ウクライナ法廷はクチマがきっと左右できると楽観していたのですな。結果、絵に描いたようなヤブヘビだ。プーチンにもはやユーシェンコを阻止する手はないだろう。(了)
   



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