安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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中国、エネルギー需要と炭坑爆発の関係

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〈 Mon, 29 Nov 2004 〉


日曜日、陝西省銅川で炭坑爆発があった。陳家山と看板のある「チェンジアンシャン炭坑」でガス爆発がおこったとき、坑内では約300人が作業中だった。この炭坑は8キロも内部にはいり、中国でも最大級の炭坑である。 わたしの予想では深さ2000mはあるとおもう。

●お粗末な安全対策
こんなところで爆発事故があれば、閉じ込められた140人は絶望的だ。助かった127人は入り口近くで働いていた。ここは国営の炭坑であるのに、炭酸ガス中毒で病院に運ばれた労働者のベッドはまことにみすぼらしい。事故があるたび安全対策がさけばれるが、実際にはなんら改善されていない。リスキュー隊2000人が現場にかけつけても、装備がないので入り口から数百メートルしか入れない恥ずかしい状況だ。

中国の炭坑は世界一危険な職場、南アの金鉱よりはるかに事故率が高い。先月、湖北省では炭坑爆発事故と鉄鉱石坑内火災で216人が死亡したばかり。今年9月の公式発表では鉱坑事故の死者4153人、異常です。しかしほかにも毎年の河川氾濫、洪水による水害や地震で多数の犠牲者がでるためマヒしているのか真剣な対策がなされない。

●エネルギー狂奔のヒズミ
実際の数字は中国の公式発表よりずっと多い。このところのエネルギー需要から石炭の値があがったため、廃坑になっていたところも安全基準を無視して再開されている。しかも民間の中小炭坑が、中国のエネルギー需要に乗って雨後のたけのこのごとくたちあがり、労働環境などおかまいなしです。こういう個人企業家は事故があっても報告せず、被害家族と賠償ですませるいことが多いという。そうやって操業停止から逃れるのです。また身寄りのない労働者の場合は人事書類から抹殺して揉み消す例が報告されている。

まさに人命よりエネルギー、人命より金儲けがだいじな風潮である。上述したように政府の公式発表では4153人だが、中国労働状況ウォッチャーの報告(China Labour Bulletin)は年間死者は約2万人とはじき出している。

●弱い中国労働者の立場
わたし、労働組合があまり好きではないが、労働法が不完全で雇い主の横暴がまかりとおる中国では労働者が団結するよりほかない。労働者が連帯したくとも、共産党独裁の中国では自主的組合組織が禁止されている。薄給労働者のフラストは相当たまっているはずだ。最近、四川省や重慶、河南省など地方で暴動があった。

当地でお目にかかる中国人は高層ビルが林立し経済成長ぶりを自慢するばかりで、繁栄の陰で取り残された地方の民衆に同情する様子がない。わざと強がっているのか、恵まれた中国人には階級意識が感じられる。一度北京出身の女性に黄砂のことを聞いたら、そんなもの聞いたことがないと、Wind of yellow sands で通じないはずはないんだが、解せない。
上層部がこの調子では炭鉱事故や工場事故から暴動、砂漠化と黄砂まで、まだまだ悪くなるだろう。(了)
   



Pnorama Box制作委員会

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