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パウエル去り、後任はライス
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〈 Tue, 16 Nov 2004 〉
●寂しき将軍、帰途につく
司法長官アシュクロフトを皮切りに15日パウエル国務長官他3人の辞任がきまり、あわせて閣僚6人がブッシュ政権を去る。辞表を出す理由は人間だれでも大して変わらない。病気や身内のやんごとなき理由を除けば辞めてゆく発端は、上司とうまく行かない、職場での疎外感にきまっております。楽しく働いている間はいくら忙しくとも「コロされるるウ」なんてこぼしはするがその実ご機嫌だ。 パウエル長官はチェイニーやラムズフェルドとどれくらい政策が違うかというと、国務省と国防相がいつの時代にも対外政策が一致しなかった程度の差である。ライバル同僚の確執くらいではどちらもハッスルこそすれ辞めようなんて考えません。上司のブッシュがチェイニー、ラムズフェルドの肩を持つのでパウエルさんの居場所がなくなった。辞任に至る唯一最大の原因である。 イラクを攻撃するかしないかホワイトハウスの関心事になったとき、中東出兵を断固反対したパウエルさんはがホワイトハウス閣議で孤立、ブッシュに煙たがられて二人だけの打ち合わせや対話が途切れてしまった。辞任説がまことしやかに流れた2002年の夏頃はそういう状態だった。ライスさんの取りなしで危機は脱したもののブッシュ/パウエルの疲れるミゾは埋まらなかったとおもわれる。 ブッシュが第2期のパートナーにチェイニーを再度選んだとき、まさかあのタカ派の心臓患いがと驚くとともに、これでパウエル辞任は確定したとピーンときました。で、選挙はブッシュ勝利。タカ派が胸を張るようになった状況でパウエル続投などありえない。ブッシュが最も話しやすく意見がちがっても疲れない側近はライスさん。だからブッシュは南部生まれの気の合うコンディーを離さない。 ● 後任にコンドレッサ・ライス 個人的にはブッシュが再選されてわたしとしてはよかったのですが、ワシントンでタカ派が野放しにされては、双手をあげるわけにいかない。悩みます。後任がライス補佐官にきまったことで、国務省幹部はさてと……対日関係をみると、アーミテージ副官はブッシュとやはり疲れる関係で、このうえライスと疲れる関係は望まないのでは?ボルトン次官はお年でもあり残っても長くない。日・韓・朝の実務家ケリー国務次官補はさいわい辞任する理由が無い。 パウエル辞任の国際的影響が気になります。相当なブッシュ・バッシングがわきあがるのではないか、ファルージャ攻撃の凄まじさは、ほじくればいくらでも米軍の非道が出てくるので非難の種にことかかないのです。ライスさんがどこまでブッシュ叩きを和らげられるか当面の課題です。次にパウエルさんのように国務省職員に愛され束ねることができるか。外交能力はそのあとです。 パウエルさんはしかし他人を悪くいわない人ですね。毛嫌いしたであろう相手にも、ド・ビリパンとかシュレーダー、さらにアラファトにも心温まる言葉が口から出る。リッパだなア、たまにはラムズフェルドのように癇癪を爆発させるところが見たかったですよね。(了) |