安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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アッバス&クレイの2頭体制出発

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〈 Mon, 08 Nov 2004〉


昨日に続くアラファト関連、オタク資料ではありません。ポピュリズムでまいります。
●埋葬地はガザ地区にかたまったような気配です。月曜日の朝、日本時間では昼過ぎコラムの出る頃にクレイ首相か、PLO副議長のアブマーゼンのどちらかとシャース外相がパリに到着する予定………外相の会見ではあくまで予定ですが。

アラファトの容体について医師の説明を受けるのが表向きの目的だが、ぶっちゃけたはなし、何日キープできるか感触を得るため。スハ夫人の今後について打ち合わせも重要。日曜日夜、パリに付き添っていた前ガザ地区治安責任者ダランがスハさんの伝言を持ってラマラに戻り、アッバスに報告した。首脳の月曜パリ行きはその伝言内容によって決まる。

●スハさんはパレスチナ自治政府や国民とほとんど関わりのないところで贅沢に過ごしてきた。パーシーの仏軍病院に入院できたのは自治政府の外交交渉で決まったのであり、スハさんがパリにいることとなんの繋がりもない。が、いまになって議長との面会や容体発表を身内の権利で制限、付き添った自治政府の婦人報道官や治安責任者ダランなど側近のフラストが嵩じる原因になっている。生命維持装置に横たわってるアラファトを確かめようにもスハさんが許可せず、集中治療室に入れてもらえない。

●医師の立場からすれば、容体や治療法を説明し情報を開示する義務は家族にしかないわけでしょう?どこの国でもそうだ。身内以外の人間にはパレスチナの報道官であろうと医師には秘守義務があり、知りたかったら『奥さんに聞いてくれ』ってなもんだ。スハさんの横棒ばかりではないだろう。病院側の発表はTVでごらんのように閲兵台からお言葉を賜る風情、フランスの軍医殿は自己完結的だなあ……戯れ句:
     サラリーマン 一度はなりたい フランス軍医。
ともあれ装置のスイッチを切るかどうかはスハさんが決めること。クレイ、アッバスといえど、アラファト夫人スハさんのご機嫌を損ねないようにまた血圧があがりますな。

●パレスチナ指導体制固まる。アラファトの入院先へクレイかアッバスが赴く(AP発)ということは、指導体制がほぼ固まったことを意味する。しかも武装派のテロ攻撃中止をとりつけ、治安部隊の再編成を、命令系統をアラファトから政府に移す運びになった。イスラエル政府もこの体制を歓迎。グッドウイルを示すため2〜3日中にパレスチナへの人道支援を申し出るそうだ。<アラファト去りて花開く>ですな。

PA(自治政府)とPLO(パレスチナ解放機構)との関係はPLOが上部機構で、その議長が政治的な最高権力者である。現在大統領制をとっていて、このふたつともアラファトは決して手放さなかった。PLO傘下にあるハマスの幹部はPAの閣僚より威張っているのはそういうわけ。PLO副議長の前首相アッバス(=アブ・マーゼン)はアラファト不在のいま議長代行、したがって四角定規に解釈すればクレイ首相より上位にある。

ま、アッバスは欲の無い人だからうるさく言わない。内政をクレイが、外交をアッバスが担うことで両者が協力する体制が整った。両者とも早期に総選挙をして正式な政府を発足させたいことでも一致している。アラファトが手練手管で阻んだ総選挙にやっと実現の光がさしてきた。

●パレスチナ人民の大半はアラファト脱皮を望む
私感ではありません。パレスチナ人の半分以上はアラファトにソッポを向いている。側近たちが私腹を肥やしただけで国民にはちっともいいことなかったもの。ところが現下の状況でそれを言えば命に関わるので表面的にアラファト一色を装い。病院前に詰めている目立ちたがりやさんをパレスチナ人民の総意と感激する阿呆がいる。あれはかってのオウムの上祐ファンと同類だ。(了)
   



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