安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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中国とロシアの関係は頭熱足寒(その二)

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〈 Sat, 23 Oct 2004 〉


●中ロ国境線はロシア有利に画定
中国とロシアの国境交渉は40年あまり協議されてきた。いまでこそ国境4000キロの旅が外国人にもできるようになったが、アムール川を挟んで銃弾が飛び交ったのはまだ記憶にあたらしい。世界各地の国境紛争の解決にお最良のお手本を示した、と両国は自画自賛するが、有利に線引き、ちょこっと領土を増やしたのはロシア側である。もちろん中国国民には伏せてある。

お手本を示したというなら、北方領土や東シナ海のガス田越境開発にもお手本を願いたいものだ。大陸棚が延びているところまで経済的排他水域と、中国の言い草にたまげました。絶句です。そんな論法は聞いた事がない。大陸棚を囲んで数カ国がある北海や南シナ海、黒海。カスピかい、ペルシャ湾、etc.etc.どうなりますか、センターラインで線引きするしかないのです。

●噛み合ない中露の新世代
ソ連で教育を受けた中国の指導者や軍人は引退して、フーさん、ウェンさんはロシアを知らない。KGBのプーチンさんは東ドイツにいたので東洋は柔道以外興味なかった。接点がなくなったリーダーたちの中露関係はたくさんの経済協定を結んだわりには内実がとぼしくぎこちない。プーチンが提携を強くしたい面は【テロ撲滅、分離主義者排除、原理主義者取り締まり】の三つ。チェチェンを抱えるロシアと、少数民族および台湾に悩む中国が完全に一致するのはこれくらいか。

中国は経済発展の自信をもっている。2020年には日本を抜いて世界2位の経済大国になると信じられている。この自信は経済力に遅れをとったロシアにたいし、そこはかとない優越感がありありなのだ。日欧米に対しては屈折した感情が、ロシアに向かっては優越感があり、ロシアに提案した【ユーラシア自由経済圏構想】によく表れている。電化電子製品を、車を衣料を自由に流通させようというわけ。

ロシアは断わった。経済的にみすみす中国に呑み込まれるような構想にバカいえ、ロシアとしては隣国中国が発展しない方がよい。インドに武器をせっせと売りつけているのはそのためでしょう。アンダ・オイルパイプを止め、ナホトかへ引くのもそのため。ま、中国への支線はつけ、石油供給を今後も増やすが、ロシアには石油ガス以外に輸出する品物がないのである。中国へ輸出する95%がエネルギー資源である。それでも実際のところ、中国がロシアから輸入する石油量は今後も全体の10%にもみたないだろう。

●中露は頭熱足寒、中台は頭熱足熱
政治的にはホットであるが、実際の中露二国間経済交流はお寒い限り、頭熱足寒といわれる関係にある。中台は頭熱足熱から、頭熱はそのうちおさまるだろう。翻って日中関係は頭乱足熱ですかな。一般レベルのロシア人と中国人ほど通い合わない関係はない。中国の反日は裏返しの感情がまじるが、漢民族の嫌ロシアは千年の歴史がある。(了)
   



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