安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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中国とロシアの関係は頭熱足頭(その一)

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〈 Thu, 21 Oct 2004 〉


●小泉-プーチン首脳会談にさきがけて
プーチンさんの来日に向けて北方領土を主要アジェンダにしようと日本側がまたぞろ準備を始めました。エリツィン以来何度も前向きな答えををしておいてそれっきり、次回協議はいつも振り出しに戻って仕切り直し。プーチンロシアの現状では4島はおろか2島も絶対に返還されない。されっこないが、実現したと仮定して返還後の青写真は用意しているのか、ロシア住民との摩擦は長引く厄介事です。業業権めあてなら採算があわない、お荷物になるだけだ。

しかしながらちょっと待ってくれ。敗戦のドサクサに盗まれた領土を取り戻せなくては沽券にかかわる。ナショナルプライドは理性でなく感情が勝つのです。返る見込みがなかろうと、はたまたお荷物になろうと日露首脳会談のたびにヤルッキャない。一方的でもいいからせいぜい小泉さんに詰め寄っていただきましょう。

●中国への石油パイプ敷設を断ったプーチン
プーチンは中露外交55周年記念に北京で胡錦濤主席と会談したばかりだが、そこでひとつハッキリしたことは石油やさんたちがアンダ・ライン*とよぶ【アンガルスク−大慶石油パイプライン】がプーチンさん『ニエット』で一巻のおわり。中国長年の苦労が水泡に帰した。

温家宝首相がその2週間前にモスクワで感じた悪い予感があり、中国側はもはやこれまでと諦念していたので、非難の応酬はなかった。タンク列車輸送で供給量は減らさない実績を積んでおき、プーチンは問題にならないようちゃんとタイミングを見計らっていた。中華人民共和国の首脳を手のひらにころがすプーチンの手練を勉強してほしいね。知事や市長まで国民の反対もなくクレムリンの任命制にしてしまったプーチンの戦略的手続きは、見習ってはこまるが、研究課題である。

●ユコスを潰したもう一つの理由
ロシア最大の石油企業だったユコス社はまだ完全に破産したわけではないが、無惨なマイナーに転落。ホドロコフスキー社長は塀の中で、プーチン独裁体制の邪魔者ではなくなった。アンダ・ラインを強引に進めていたユコス社を瀕死に追いやったプーチンさんの目的は、ナホトカへ引っ張ること。そこから日本へ売り、太平洋に石油の道をつくる夢。そんなこと石油やさんはとっくに知ってることで小生のコラムにも、自慢じゃないがパイプラインは中国じゃなく日本に来ると書いた記憶がある。

中国への石油パイプラインを断ったそのプーチンさんが日本へやってくる。小泉・プーチン首脳会談のロシア側関心事はなんといっても日本のお金。シベリや石油開発とパイプ敷設にいくら投資/拠出するかです。コミュニケに使われる経済交流の促進とはひらたくいえばバイカル湖のあたりから日本海へ、パイプ敷設を日本に肩代わりさせること。北方領土はその場かぎりの一時しのぎにすぎません。くれぐれも高いお買い物にならないように願いたい。(つづく)

*An-Da (Angarsk to Daqing) Oil line.
   



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