安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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カルザイさんの選挙術

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〈 Tue, 12 Oct 2004 〉


アフガニスタンの選挙が心配されたテロもなく無事におわった。なによりも投票者が予想外に多く、概して無表情な国民にも隠された熱意があった。歴史的とはこのことだ。投票者の長い長い行列にロケットを打ち込むぐらい、いくら米欧の派遣軍が警備を固くしていようと、可能ではないか。それがなかったことは正直にいって驚きである。

選挙を控えた忙しい日、カルザイさんはCNNのクリスチアネ・アマンプーリのインタビューで、『ウサマは無力の逃亡者にすぎない、捕まえるにこしたことはないが……』と、まるで興味のない様子でした。ケリーの売りの材料をあっさり否定して小気味よい。また『タリバン復活はありえない』とも。選挙にはなみなみならぬ自信がうかがえた。

●実績を積んできたカルザイ
カブール陥落のあと、国連主催の復興会議でブラヒミ氏の根回しが奏し、首班がカルザイ氏に決まった。暫定政権が発足し、米が国連の名でつくった民主化日程は、振り返れば着々と実現している。国民会議ロヤ・ジルカがほぼ日程通り開かれ、憲法草案もできた。選挙などかつて一度も経験したことがないアフガニスタンで、選挙登録がはじまり、登録にでかかけた女性がつぎつぎ殺されたり、制度つくりの国連職員が嫌がらせをうけるなど出だしはたしかに悪かった。半年前には大統領選挙など不可能だと言われていたのが、どうだ。有権者はみな投票し(2回投票した困り者もいた)、しかも無事終わった。国民祝日に制定すべき歴史的な日である。

投票箱移送中の襲撃事件や、立候補者が不正を理由に投票結果をボイコットする動きもあるが、問題になるほどではない。すでにカヌイ候補はボイコットを取り下げして国連の調査に任せる立場にかわった。また抜け目のないカルザイ氏は二重投票があった南部の投票所では再投票を行う柔軟さをみせている。勝つ以上、対立候補のメンツをたてて閣僚ポストなどをウラ取引してなにが悪い。アフガン流平和手段です。

●ズバ抜けた政治感覚
カルザイさんは小生あまり好きになれない。だが思い切っ危険なカケにでて勝つ政治感覚はズバ抜けている。新生アフガニスタンの首班に選ばれたのは、パキスタンで小ビジネスをしていたカルザイさんが、父の葬式に一族郎党を従えて敵将が牛耳るカンダハルに入った一件による。これで一躍、勇敢な男とイメージが定着した。一触即発の危険をおかして故郷へかえったのは、葬儀のことゆえ攻撃は受けないと政治的な読みがあったのだろう。

この夏、強力な私兵2万をようする武将で知事のイスマル・カーンを通関税の私有と脱税で知事をクビにしたのも、カンの良さである。政敵はせめて来なかった。この選挙に立候補していたドスタム将軍はカルザイのチエ戦略に、持つ武力を使えずに弱体化するばかり。

●群雄たちの落日
カルザイ政権が首都カブールから全国へ、部族長の勢力地に及ぶまではまだ最低数年、その抱える私兵を解散させるのは10年無理だろう。しかしながら、アフガン群雄たちはあきらかに落日に向かっている。タリバンのイスラム原理主義が入り込む余地はさらにない。(了)
   



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