安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ノーベル平和賞

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〈 Fri, 08 Oct 2004 〉


2004年のノーベル平和賞がアフリカの環境活動家にきまった。ケニヤのワンガリ・マータイさん( Dr. Wangari Maathai)64才、生物学教授で環境副大臣。

受賞の理由は27年前にはじめた『グリーンベルト運動』と名付けられた緑化運動の功績による。………マータイさんねえ、知りませんな。この人の名は昨年の最終候補にあがっていなかった。しかし数日前から下馬評に6人に絞られた報道があり、アフリカ女性のマータイさんはトップにのぼっていた。

●エルバラダイが逸して拍手
残りの候補者は毎年名があがるチェコのハーヴェル前大統領や核拡散防止の功労者ルーガー米上院議員さんたち。もはや過去の人、来年は最終候補から消えるだろう。気がかりだったのが有力候補に上ったIAEAのエルバラダイ委員長で、平和賞選考会の左巻き伝統から類推すれば大いにありうる。もしエルバラダイにきまったら小生のノーベル平和賞廃止論は見境がなくなろところでした、はー。トコロテン式にシュッセした国連人めが、他力本願の組織にイニシャチブはない!ハタミと金正日の出方次第じゃないか!てな具合にね。

●ソフィエ環境賞
さて、このマータイさんですが、いいですね。ノルウェーには【ラフト人権賞】というノーベル平和賞の露払いをしてきた賞がある。昨年平和賞を受けたイランのシリン・エバディさんも先にラフト人権賞をもらっている。もうひとつ97年に設立されt【ソフィエ環境賞】という世界のベストセラー『ソフィーの世界』の印税を基金にした賞があり、これをマータイさんは今年の4月に受賞、オスロでノルウェー環境大臣から授与された(写真)。 


ラフト人権賞は反独裁体制の有言実行教授トーロルフ・ラフト教授(べルゲン経済大)を記念して設立された民間基金。受賞者は抑圧、投獄されている人権活動家がメイン。ソフィエ環境賞は著者のゴッダール(元ベルゲンの高校教師)氏の献金をもとに設立された民間基金。主にジャーナリストや作家が受賞する。

●マータイさんの4月講演
本題に戻って、マータイさんがソフィエ環境賞授賞式で述べた記念講演(http://www.sophieprize.org/)を読んで、ちょっと涙ぐむほどいいんですな。もちろんただの植林運動家じゃない、森やそこに住む動物、きれいな水が金になるコーヒやサトウキビ畑に破壊され、ために水質が汚れ健康を蝕む。川が枯れ、井戸が枯れ、雨が降ると水害に悩まされる。

緑化運動とひとくちにいうが、非常に気の長い仕事をとおして辛抱、忍耐、協力、運動の国際化を学び身につける。いわれてみるとそうだ。この人の心には信じるケニヤの未来、アフリカの未来、地球の未来像がある。

『学校に通う朝、空気は澄みわたり朝露が銀色にかがやいていました』。緑化運動を始めたイメージ、少女時代の彼女の想いでである。

現在の活動は自然資源と野生動物の保護、婦人の人権、政治の民主化などはばひろく、特にアフリカのエイズ蔓延を大量虐殺にたとえて警告することばに度肝を抜かれた。それでいて受賞の喜びが素直というか、あどけないというか、『紛争解決を旨とする平和賞にそぐわないという意見もあるが……』、との意地悪な問いに『わたしはモノがいえない鳥や動物や木や水のために戦っています--………』。これはいい、おそれいりました。(了)

ラフト基金 http://www.rafto.no/Default.aspx?tabid=510
ソフィエ基金 http://www.sophieprize.org/

   



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