安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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牙をむいたジョン・ケリー

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〈 Tue, 21 Sep 2004 〉


ここんとこよく降ります。とりわけこの1週間は雨の多いベルゲンでも例年の倍以上とか。低気圧になるとウツっぽくなるわたしは二日間【死に体】させてもらいました。

●ケリー演説、ブッシュは無策!
ぼんやりとNY大学でのケリー演説をライブで見る。イラク政策を焦点に、ケリーは穏やかなイメージをかなぐり捨て、ブッシュを無策と決めつけました。トータルに否定非難しつくした。ああすべきだった、こうすべきだった、ウソついたとか、今日のケリーは形相まで嫌悪でしたな。観客もおそれをなしたか、神妙に拍手は控えめ。華麗さがない。

演説のあと、ザルカウイ一派に拉致され、月曜日が処刑日と宣告されていた米人二人と英国人ひとりのうち、米人一人が首を落とされた速報が入った。この速報が演説中に入っていたら会場はもうすこし重力がでたかもしれない。

●墓穴を掘るおそれあり
スンニ地帯の治安がとことん悪くなり、米人死者が4桁の大台に乗ってから、ケリー陣営がテーマをイラクに集中するのは当然すぎるほど当然。ブッシュ攻撃が過激になるのは予想どおりといえ、そうコテンパンにやり込めてはあとでほころびが出やしませんか。というのは現在ジハードのテロ攻撃が1日平均80件あるが、大統領選まえには50件ぐらいに減る傾向がある。注目されたNYタイムス19日の記事 "US Plans Year-End Drive to Take Iraqi Rebel Areas"によるとその傾向だ。するとケリーの難詰は宙にうき、虚空に拳をうつ愚体をさらすことになる。

また、占領軍、外国人、およびその傀儡と看做されるイラク警察やイラクの治安部隊に対する反乱が、スンニ、シーア入り乱れて聖職者を殺害するようになった。内乱の傾向が現れている。こうなるとケリーの言うようにもっと国際協力を求めてイラク復興をといっても実現するもんですか。『国連総会の機にイラク問題を討議するトップ会談を開け』、つってもね……言うは易し、提案はどれもヤスっぽい。パウエルさんはケリーにコメントすることを禁じられているので、どうもはがゆい。

●TV討論の勝敗は?
さーて、ブッシュとケリーが90分2ラウンドのテレビ討論が10月8日と13日にきまった。現在の接戦では討論の勝敗が選挙の勝敗を決めることになる。ブッシユは州知事選で絶対優勢だった女性候補を討論で葬り、大統領選ではゴアとの論争に勝った。よく言葉の間違いを揶揄されるが、ディベートはうまい。一方ケリーも民主党候補との討論で勝ち抜いてきた滑らかな弁舌があり、詰まったりしない。

不詳わたくしメが予断するとこうなる:

政策的に新構想をうちあげる可能性はないので、出来映えは減点法にならざるをえない。そうすると答弁につまった方が負け。ブッシュの負け……テクニカルにはそうだが、投票にむすびつく総合点は器量、ウツワの大きさである。TV討論のすぐれたところは、二人が並んで登場することによって大統領としてのウツワを自分の目と頭で比較できること。ポイントは指導力と方針の明確さ、プラス適度のユーモア。これでレーガンやクリントンが勝利したのである。総合点でブッシュ有利とみた。

追記:筆者はブッシュ支援だが、戦争を始めた大統領は対抗馬に負けるのが世のならい。ブッシュの敗北を信じていたが、再選となればそれは民主党のタマが並以下だったため。(了)
   



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