安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


-------- ----------------------------------
大アヤトラ・シスタニの【鶴の一声】

------------------------------------------
〈 Tue, 07 Sep 2004 〉


●スンニ:ファルージャ険悪
ファルージャの情勢が嫌悪になってきた。米軍とイラク軍の車列ガ自爆カーボンブの攻撃ににあって海兵隊員7人とイラク兵3人が死亡。8月は米軍の死者66人、負傷者1000人以上を出して、いっこうに治安が改善されていない。ブッシュは”We wil winnモというけれど、スンニの乱はますます繁く、隣接するサマラ、ラマディをはじめ南部の町はほとんどテロリストの手に落ちたではないか。

4月、米人4人を殺害して死体を引き回した事件をきっかけに、米軍はファルージャを猛爆一週間、ジハードも市民もひと丸めに7000人を葬った末、後始末を元フセインの情報高官を自警団【ファルージャ旅団】の長にすえて米軍は撤退した。あのときはそれでよい、イラク人に任せるのが平和的でよいと本心思っていたが、米軍が空爆を続行したため見込み違いになった。

人口3万のファルージャは逃げ出した一般市民も多く、のこっているサッダムの残党フェダインや有力部族長、厳格なスンニの宗教指導者が絶対的な力をもっている。ファルージャ旅団は追い出され、その頃のコラムに『テロリストの聖域になっているといわれるが、米軍は引いて影をうスクすべき。暫定政府にまかせるほうがよい』なんてしたり顔でした。はずかしい。しかし、ザルカウィをしとめるべく何度もファルージャ空爆をくりかえし、何人子供を殺した、か巻き添え市民の数はいちいち発表しない。ごく最近もまたやった。今回のカーボンブはそのときの報復という。事件のあと米軍はさっそくスピーカーで市民退避を呼びかけている。近々また空爆をやるだろう。

●シーア:シスタニ師が治めるナジャフ
日曜日、イラク治安警察がムクタダ・アルサドルの事務所を包囲してビルを捜索、武器を没収しようとしたが、大アヤトラ・シスタニの中止要請があると捜索を見合わせ引き返した。
鶴の一声ですぞ。知事とサドル側が協議したあと、サドルの民兵も事務所を出たという。こと、武力衝突を止める段になるとアヤトラの権威はシーア派国民はもちろん、イラク政府を凌ぐようになったかにみえる。

だが朗報といえるかどうか、サドルは赦免されサドルの力は温存されるので、停戦すりゃそれで安心するシスタニ流は問題の解決にならない。シスタニ師はイスラム宗教を基本にした憲法と政治を望んでいるのであって、世俗的権力をもつとアブナイ。アブナイけれどもスンニのイーマンたちよりなんぼかマシだ。原理主義的宗教政治を、とくにファルージャではシャリア法の復活が見られ、攻撃的なスンニの宗教家にくらべるとシスタニ師ははるかに平和的ではある。(了)
   



Pnorama Box制作委員会

ひとこと言いたいなんでも・掲示板へ
筆者へのmailはこちらまで
HOMEへ戻る