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新学期のテロ
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〈 Thu, 02 Sep 2004 〉
小学校の新学期といえば桜の咲く頃、一年生の親は付きそってゆく。ヨーロッパはおしなべて夏休みがおわってから新学期がはじまり、8月中旬から月末にかけて入学式が行われる。 父兄が同行して華やかな日である。
●イスラエル、始業式の日の帰り イスラエル南部の町、31日、入学式を終えて帰る親子や、仕事帰りの人々を乗せてふだんより多い満員のバス2台が爆破された。ハマス・ミリタントが声明を出したテロだ。政府の汚職を一掃し、治安をよくすると権威失墜いちじるしいアラファトが殊勝な演説をしてからひと月たっていない。もちろん汚職大臣官僚はひとりも逮捕されず、ハマスは独自に行動する。 米共和党大会の初日、ジュリアーニ前NY市長が、ノーベル平和賞をこき下ろした。まったく同感。うれしいことを言ってくれました。あのアラファトに平和賞なんぞもってのほか、実にテロリストを助長するような選考をしてきたとんでもない平和賞なのです。この20年特にひどい。わがコラムでも平和賞非難はまいどのこと、ジュリアーニさんを9,11日の翌日コラムにびくりするほどデキル人と書いてよかった。シュワちゃんもいいが、共和党大会の白眉はブレないブッシュを印象づけたジュリアーニの演説。ま、民主党大会のクリントンには及ばないが。 ●ロシア南部オセチア共和国、始業式の父兄児童を人質に チェチェン大統領選をはさんで、ロシアではたてつづけにチェチェン女性による自爆テロがあった。飛行機2台同時爆破とモスクワ地下鉄の上の道路。路上の警備員がいなければ走る地下鉄の車内が吹き飛んだところだ。 クレムリンの強固な体制はプーチンが人事を牛耳り、縦につなげた大臣や高級官僚をうまく操れるから。チェチェンでも同じように親ロシア派の大統領を選挙で勝たせたが、カディロフ前大統領はスタジアムの貴賓席で爆殺された。先日プーチン支援によりやはり80パーセント近い得票率をえて当選したアルハノフ大統領には、その日からイスラム過激派から暗殺予告される始末。 グルジヤのようにチェチェンにもチェチェン人による自治拡大を早くから認めておけば分離独立派の過激化を招かなかっただろうと思う。オセアチア共和国の中学校に殴り込み父兄と学童を人質に取って学校を占拠した17人の武装グループに女性が含まれており、チェチェンのテロは独立より家族を殺された者が復讐する怨念晴らしにかわってきた。パレスチナと同じ構図だ。気の毒だが世界の同情はもはや得られない。 さて、警察が実力行使に出れば300人以上残るといわれる人質もろとも爆破されるだろう。 進行中の交渉は引き延ばしの方便で、プーチンはそのあいだにモスクワ劇場のように突入する計画を練っているにちがいない。 ● 不穏な新学期を迎えるフランス シラクがイスラム女性徒のスカーフ着用を禁止したことにかこつけて、イラクのバカたちがフランス人記者を拉致して撤廃を要求、気にいらないことならなんでも人質を取って撤回を要求する、ダメなら首をちょん切る無法者のいいなりになるシラクさんでなし、フランス人記者を処刑すればフランス在住のイスラム人が襲撃されかねない。黄色い声をはりあげて街頭をデモッた前日とウラハラに、イスラムスカーフ禁止の始業式は、大きな混乱なく無事おわったようだ。(了) |