安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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サドル師とマヘディ軍、最終局面に

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〈 Fri, 20 Aug 2004〉

 ● イラク国民大会議、無事閉幕
メデタシメデタシ。諮問評議会hは評議委員の選出をめぐり紛糾し、3日の予定が1日延長されたが、散開にならず当初の目的を達成できたことは大成功だ。この会議が結局投票を行わず既定の名簿を了承したかたちで諮問評議会が成立したことに、不満、非難があるのはもっともで、非民主的といわれればそのとおり。しかし、アフガニスタンでカルザイを大統領に新任した国民大会議でも、わけがわからんうちにカルザイが大統領再任がきまったことをおもい出してほしい。イラクでも各界代表、地域部族・宗派・政党の代表が事前協議して同意した評議員がそのまま認定される……これは自明の理であり、その最終認定に至る過程で、参加者はなんでも自由発言がゆるされ、不満をぶっつけることができる。悪くいえばガス抜きの儀式であっても、民主的プロセスの範疇内にある。西欧的感覚で宗派主義、部族派閥主義をとやかく批判するのはプラクティカルではない。


国連はナジャフ不穏を理由に予定されていた8月1日からの会議を2週間延期してしまったのは、まったくもってけしからん。暫定政府は、名簿作成協議が終わった時点で開会日を決めたのに、2週間延びたために余計な再考を図る不満派を助長した。しかも2週間経ってサドル一味の反乱はますます激しくなったではないか。国連の徒なお節介である。ま、最後は無事閉幕にむけ努力したので終わりよければすべてよしとしておこう。

さて、バグダッド国連本部が爆破されデ・メロ代表が死亡、これを機に国連がイラクから引揚げてから1年が過ぎた。犯人グループがいまだにわからず、国連はイラク復興支援から逃げたままである。米軍ほか海外の兵隊だけが目立つイラクにした責任の一端は、後ろ向きの国連にある。

 ● 無思慮な暴れ者、ムクタダ・サドル師とマヘディ軍
ムクタダ・サドルは、シーア宗教指導者の父がフセインに暗殺された血筋から、担ぎあげられた世間知らずの若者にすぎない。最後の地の一滴まで戦うと宣言したかとおもえば、申し出に応じてマヘディ軍を解散する、はたまた停戦するから米軍といラク国軍がまず撤退しろなど、言を左右にして暫定政府と米軍を翻弄してきた。だが、もうそろそろ言い逃れはできない限界に自分を追いつめてしまった。彼らが立て篭るイマン・アリ聖廟周辺に米軍は散発的な空爆を行ったが、ドーム内に突入総攻撃を仕掛けるのは時間の問題だろう。アラウィ首相は2回も最後通牒をだすわけにいかない。

聖廟を攻撃するとイラク60%の人口を占めるシーア派の市民すべてを敵にまわすとか、サドルを殺害すれば殉教者としてあがめられ反乱を呼び起こすので危険だ、といわれる。だがそうやってきた結果、ズルズルとヤクザな集団をのさばせてきたのである。すでに周囲の住民は避難、米軍は敵のいる場所を包囲し敵の本質をつかんでいる。戦闘は非対称ではないゆえ、一味を壊滅するのはやさしい。聖廟だから聖域なんてズルイ言い草ではないか。イスラム史上、多くの決戦の舞台がモスクドームで戦われた。躊躇せず全面攻撃に踏み切るべきだ。(了)




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