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どこまで上がる、いつまで続く原油高
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〈 Fri, 06 Aug 2004 〉
●原油市場のモウレツ投機筋
原油価格がまたあがった。一時44.40ドル/br.というのはニューヨークで原油先物取引きがはじまった1983年以来の最高値だそうで、もしですよ、40ドル台の高値が1年続いたら世界経済はどうなるか。機関投資筋に自重しろといってもカエルのツラになんとか、逼迫した石油不足があるでなし、少しでも悪材料があればモウケに利用する原油市場はSF的モウレツな世界である。 1年続いたらどうなるか、きまってますがな石油を原料にする産業、プラスチック、半導体、合繊などが打撃を受けます。灯油やガソリン代に表れるくらいの高値、スポットで35ド くらいなら耐えられる痛み。しかも世界の環境にやさしい効果があってそこそこの高値はよいこと、そんなコラムも書いたけれどもうそれどころじゃない。 開発途上国ではGDP3%減、エネルギー消費が巨大な中国もそれくらいに響くだろう。日本0.4%、米0.2%、EU全体で0.3%、数紙の予測を平均するとこうなる。 ●ユコス社、破産へ後一歩 ユコス社の状況を左右するロシア政府にある。ロシア法務省はユコス社に採油してはイカンとかしても良いとか、子会社との取引を禁止するとか、禁止解除するとか、そのたび投機筋はエキサイトしてきたが、木曜日、史上最高値までアップターンした原因は【ユコス社の口座凍結の解除はしません】という法務省の方針にある。滞納税の担保に口座を差し押さえているので引き出せないが、入金はよろしいというもの。儲けゼロのユコス株は即座にモスクワ市場で14%ダウン。それよりはやく世界の原油市場はグイっとあがり、北海ブレントが41.30ドルに動した。 口座に入れるだけで出せないとはどい話だが、入金は滞納額支払いに用いられるので営業は可能です。ま、ユコス社の生命線は維持される。ただいつまで持ちこたえられるか、給料や必要経費はどこから捻出するの? 今年はじめから流布していた【8月中旬破産】説が現実味をおびてきた。『受け皿に 抜かりなしや プーチン君』今年いっぱいは高値で上下、来年は増産されるが、中国とインドの消費で慢性的不足感がつきまとい、安い石油はないとおもえ。 ●ロシア石油超大国の台頭 ユコスは一社でロシア石油生産の5分の1を占め、その生産は現在限りなく縮小しているが価格高騰のためロシア全体の石油輸出額はさほど減らない。ロシア経済は好調で、今年度7%という夢のような成長が見込まれ、悲観的西側観測、たとえば資金引揚げ80億ドル、海外資金調達のプレミアム上昇などを尻目にプーチンは余裕綽々、選挙の悩みもない。投資引き上げにもかかわらず、海外からの新規投資が12%増加したと豪語。 中南米の石油が不安定、イラクも然り。しかしそれで原油価格はさほど変動しない。OPECが増産しても変動しない。これらは日常茶飯事なのだ。だがロシアの動きは、近い将来世界の超石油パワーになる国であるが故に、投機筋は過敏に反応するようだ。(了) |
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