安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ガザ地区の騒乱、 New Post-Intifada

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〈 Mon, 19 Jul 2004 〉



●パレスチナ問題、ガザ地区の反政府抗議。前回の続きです。今度ばかりは不死身のアラファトも年貢の納め時か、事態はアラファトの旧態依然としたネポチズム(縁故)人事に母体のファタ内部から、さらに市民も加わってアラファトに公然と抗議をはじめた。
金曜日の事件、ガザ警察所長ガジ・ジャバリがジニン殉教団に一時拉致された騒動は、ジャバリ所長がアラファトの側近で、ガザ地区を実際に仕切っているハマスといざこざが絶えない。拉致は自治政府に治安組織の改革を要求するもので、テロ組織が治安改革を訴えるという変則状況であるが、もっともな理由があるのです。
まず、縁故では改革につながらない。周知のようにアラファトの側近や縁故は汚職まみれで、従弟のムーサ・アラファトはその典型である。にもかかわらず、このいとこを抗議辞任したガザ地区の治安組織長官(前のコラムで筆者は公安委員長と訳す)の後任にワザワザ起用した。なぜアラファトは油に火をつけるようなバカな人事をしたのか、わからないこともない。激怒すると粗暴なゲリラ性を剥き出しにして側近に灰皿を投げつけたり、怒鳴りつけたり、重大な協議をひっくり返したり、ふだんは狡猾な男ですら思考が停止するのです。
●中東和平ロードマップが滑り出したとき、アラファトはこの従弟をパレスチナ情報機関のトップに据えようとしてアブ・マーゼン首相の抵抗に遭い引っ込めた。わたしちゃんと覚えております。アラファトの邪魔立てがやまず希望のアブ・マゼンは辞任、後任の現クレイ首相を操ってここまできたが、 ついにクレイも辞表を出した。アラファトはクレイの辞表を拒否しているが、後釜はいるのかな?またぞろ縁故人事ならそのときこそアラファトの最後、朗報ですね。実際、西側世論はアラファト不支持が67%になっている。もっともシャロン不支持もそれくらい高いのですが。
アラファトべったりだった、中東担当国連次長のラーセンすら改革をさぼるアラファトを非難する始末、アラファトを支えたアラブ各国やEUは沈黙している。ルマラ議長府に今年まだひとりの首脳もおとずれといない。
●18日、ガザ地区ラファで大規模なデモがあり、その中の一隊で自爆テロで名高いアルアクサ殉教団が軍情報機関本部を銃撃、死者12人を出した。この【ガザ蜂起】の直接原因はムーサ・アラファト長官任命にあるが、政治力を失ったアラファト腐敗政権に失望した市民の不満が底にある。二つの殉教団はハマスの下部組織であり、ファタ第2世代の若者が原動力である。
ガザ不穏の要因はほかにもある。イスラエルのガザ地区撤退が、シャロン与党の反対で棚ザラしされたが、来年末には撤退するだろう。するとガザ地区は完全なパレスチナ政府の自治に委ねられるが、イスラエル軍撤退後のガザ地区はどうなるのか、アラファトは青写真を示す事ができていない。 (了)



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