安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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イラク新政府の構想、厳戒令と恩赦

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〈 Sun, 27 Jun 2004 〉



●アラウィ首相のアラビック政策 アラウィ新内閣の反乱対策は、まず強硬、しかるのち『おとなしくするなら許してやろう』という戦略。ついでにサウジがジハードテロ犯に恩赦を提唱したのはアラブの伝統であることを、一昨日書いたところ、アラウィさんも恩赦を考えている記事が土曜日の英字紙トップにでました。
主権移譲後はまず【厳戒令】そして【恩赦】というプロセス。小生の予想に違いはなかった。もっともこのふたつとも米軍が忌み嫌う戦略で、というのは厳戒令だと町はイラク警察の管理下に置かれ、米+多国籍軍の行動が自由にいかない(パウエル談)。先制攻撃の自由が奪われ、手足をもがれた米軍になりかねない。強行してイラク政府を敵にまわすと元も子もなくなるのです。テロ組織の恩赦などブッシュでもケリーでももってのほかだろう。おそらく厳戒令も恩赦も文字通りの実施はムリだが、方向はそうなる。
●アラブ的手法で成功した米部隊の例 土曜日朝ののNYタイムスで読んだ記事に米の部隊が戦闘だけでなく、後始末に成功している例をあげていました。速攻、金、民事政策の3点セットで米軍はイラク市民を親米に導こうという試み。遊園地の武装派を【速攻】で追い散らし、武装派に顔の利く土地の族長に【金】を渡し、族長は追い散らされた武装派を雇って破壊した遊園地を【民事政策】修理させる。
民兵とか武装派の蜂起は職のないフラストのたまった貧しい若者たちが訓練もなくサッダムの残兵にリクルートされている。仕事があればよろこんで銃を捨てる。この3点セットで成功している町がいくつかある。つまりは恩赦、すでに米軍部隊で証明済みではないか。この方法は四角四面に民主主義の理想をいわず、現実的になれば最良の治安政策だ。
●サッダムの統治法 サッダム・フセインは湾岸戦争あとのシーアとクルド蜂起を弾圧、大量虐殺をおこなった。シーアの宗教指導者トップ、シスタニ師などはイランに逃げ、スンニの宗教指導者は活動をやめた(邦人人質に仲介したスンニ宗教者長老会議は1年前たった5人)。残ったシーア宗教指導者には政治活動、政治的説教、アシユラ祭事をしない条件でフセインは恩赦したのである。クルドには事実上の自治を残した。以上サッダムの例で悪いが、中東では規制のある恩赦が統治のカナメである。
まあしかし、路肩ボンブや迫撃砲、カーボンブや拉致のテロ犯以外は治安回復ととともに忘れていいのではないか。、ザルカウィ一味が2,3日前拉致したトルコ人労働者3人をブッシュのトルコ訪問に合わせてアルジャジーラが放映したが、こういう一味はもちろん恩赦の例外だ。土曜日の急襲はザルカウィを間一髪で取り逃がし、3度目の正直もはずれてしまった。このあたり、イスラエルは手堅い。土曜日、ヤシン、ランティシに続いてアルアクサ殉教団のリーダー、アラファトのファタメンバーをナブルスで殺害。(了)



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