安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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駐イラク大使ネグロポンテの横顔

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〈 Fri, 18 Jun 2004 〉



● 世界最大3000人を擁するバグダッドの米大使館
『今朝、バグダッドでカーボンブ、死者……人、負傷者……人』。昨日の朝の事件かとおもえば、新しいテロでした。またかいな。主権委譲の6月30日前後をピークに日常茶飯事になるんでしょうか。しかし所詮自爆テロ、反乱民兵組織とは一応ハナシがついたし、民衆蜂起はとうとう一度も起こらなかった。ビビるにたらず、サマワで参院選挙小泉かく乱を狙ったテロはまず起こらないとおもうな。
あと12日で独立国家の体裁をもつイラク移行政府が発足する。ご存知のように、バグダッドにアメリカ大使館が新設されその大使にジョン・ネグロポンテ現国連大使が、これやっぱり栄転にあたるのかキツイ汚れ任務に就きます。いえ就いてくださいます。外交官や職員3000人という世界最大の大使館のボスにお似合いだ。
この人、ロンドン生まれで父は海運業を営むギリシャ人。エール大から国務省に入省。庶民ではないわな。キッシンジャースクールを振り出しに、トラブルシューターのキャリアをもつ。スペイン語フランス語で記者会見に応じるのはTVでおなじみ、聞いた事ありませんがベトナム語も話すとう評判ですぞ。
●ブレマーからネグロポンテへ
イラクにおける米のトップ、ポール・ブレマー行政官(62)が退任し、CPAの組織が大使館へ、ネグロポンテ大使(64)に引き継がれるのですが、同じプロ外交官でありながら経歴、性格がかなりちがう(キッシンジャーの下にいた事は共通)。ブレマーは国務省キャリアだが国防省主導で決まったイラク人事、ラムズフェルドやウルフォヴィッツを上司にで仕事をした。ま、ネオコン政策遂行が使命だから国連やイラク統治評議会とはあまり関係がよくなかった。
主権委譲とともに米政府のイラク代表は、国務省パウエル側のネグロポンテに軸足を移す。新大使は国連のアナン総長、イラク担当のブラヒミ特別顧問とウマが合うところが無類の強みである。文句なしの適任。ブレマー氏の場合は以前任がテロ担当次官補だったが、危機の現場経験がない。ゲンキな人が苦労したので真っ黒な髪が1年も立たずに白っぽくなってしまった。
一方、ネグロポンテは絶対気色ばらない柔らかさと重厚さ、ブッシュ閣僚の中では最も泰然自若とした懐の深さを思わせる。ベトナム戦争終結にキッシンジャーの隠密外交に従事した頃からトラブルーシューターの経験は長い。そのときベトナム語を覚えた。レーガン時代はホンジュラス大使、隣国ニカラグァのゲリラを支援する【イランコントラ】に一枚噛んでいた。そのためブッシュ政権の国連大使任命が上院で拒否されたが、9.11の危機がおこるや、ネグロポンテ国連大使が改めて承認された。経歴を追うとブッシュであろうが、ケリーであろうが、イラク大使になるべくしてなった外交官である。(了)



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