安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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石油高を歓迎する

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〈 Wed, 16 Jun 2004 〉



●ハイテク産業国家に響かない
ガソリン代はどれくらい上がったのでしょう。運送、タクシー、航空会社に響いているはずですが、末端消費価格にそれほど反映していない。日本は原油価格高騰の経済的影響は比較的少ない。何度か痛いめにあって製造業に省エネが行き届いているうえ、なにより石油エネルギーを使う一次産業は少なくなりました。
これは米でもおなじ。ハイテク産業は燃料石油依存度が低いため、日米の経済が原油高騰でダウンすることはない。米のガソリン代は1ガロン2.1ドル、1リットルで62円です。市民は不平タラタラでも、先進国の水準ではまだ格安です。アメリカンが湯水のように石油消費をやめ、効率のよい小型車に移行、ハイブリッド車開発を進めることは正しい方向だ
原油が上がると石油ガス企業がが儲かる。1年前1バレル25ドルが40ドルに高騰したおかげでこの四半期はConocoPhilipsが史上最大、ExxonMobilは13年ぶりとかの利益をあげた。石油企業と関係深いブッシュ政権は2001年と同様、今年の選挙にも充分貢献してもらえます。ブッシュ以下 Dick Cheney, Don Evans, Gale Norton, Condoleezza Rice. え、コンドレッサ・ライス? そうらしいですよ。補佐官の名前を冠したタンカーがある由。
●産油国政情不安と中国の石油消費
しかし米が画策して原油高が起こったわけではない。理由はいろいろ:産油国サウジ、ヴェネズエラなどの政情不安、イラクでは今日もパイプが爆破され、南米コロンビアではパイプの直しと破壊のイタチゴッコが数年来の常態。先進各国はもちろん東南アジア諸国、インドまで備蓄するようになった。それで現在サウジが増産して、石油の需要と生産はほぼ均衡しているのに供給に回らないのです。原油価格はひとえに市場の問題。
莫大な埋蔵量をもつロシアは開発遅れと活動油田の生産をあげても輸送システムが頭うちで輸出増ができない。カスピ油田増産、西シベリアの石油をムルマンスクへ、東シベリア油田からはホトカへ、プーチンさんいくら気張っても5年以上かかるだろう。
中国はもう必死ですね。資源獲得に環境そこのけで掘りまくっている。東シナ海春暁ガス開発が日中経済水域ライン5キロ中国側のところで始まったなんて驚きじゃない。資源を求めて南米の廃坑まで買いあさっています。いくらじたばたしても経済成長をまかなう量と価格の石油輸入はあきらめていただきましょう。結果、世界経済安定に、大気汚染と渤海汚染に小休止。原油高は人類に いいことだらけなのです。(了)



Pnorama Box制作委員会

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