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レーガン国葬、弔辞雑感
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〈 Sat, 12 Jun 2004 〉
1日中どんより曇り空、ヤル気の失せる日は机を離れてのんびりしよう。少し草刈りをしてレーガン国葬をみました。英米のニュースTVは国葬の特番を流し続けている。さも全世界がこぞってレーガン追悼を見つめているかのような報道ぶりを眺めていると、米のメディアは世界を誤解しているのではないか、ノスタルジックに浸るのもねえ……とおもえてくる。
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当地ではごく小さな扱い。D−Dayのような特番もなく、レーガン時代を評価する声も聞かれない。ヨーロッパは概してそうだろう。イギリスはサッチャー、ブレア、女王代理でチャールス皇太子が出席しているので、報道は大きいが国民は知らん顔ですね。地方議会選挙でブレアの労働党が大敗を喫した。ロンドン市長は労働党リビングストン氏が予想通り当選したが、与党であっても反米で勝った人である。イギリス代表EU議会選挙はどうなったのか、投票率30%に満たないといわれている。イラクで米と行動をともにしたブレア首相の凋落著しい。
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●EUROGIES 弔辞雑感
一方、それが葬儀、しめやかに美しく粛々とあるべきという観点にたてば、ベストのアメリカ国葬である。厳かで、求心的でそしてどこまでもアメリカン。前日キャピトルヒルに棺が安置され、一般市民の長蛇の弔問を徹夜で受けた。弔問にさきだち、チェイニー副大統領の弔辞が印象深かった。こんなに思いやりのある人だったか、ちょっと驚く。 |
ワシントン大聖堂の国葬、弔辞の最初はサッチャーさんのヴィデオ録画で、これはレーガンさんに生前から頼まれていたので思い出のカットを挿入してよくできている。しかし、冷戦からソ連邦の崩壊をもたらしたレーガンの【成果】をあまりに強調するのはどうか。悪の帝国、共産主義という言葉が何度もでてくる。もちろんジュネーブサミットの相方、列席のゴルバチョフを偉大な大統領と褒めたたえるのをわすれないが。他の弔辞も悪の帝国、コミュニズム云々では一貫している。
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しかるに、本家ロシアでいまゴルバチョフは過去の人になって久しい。グラシノーシは死語になり、アメリカ1極スーパーパワーに道をひらいたゴルバチョフは祖国の忌まわしい人物に見られているが、そのあたり、ロシア国民への配慮が見られない。レーガンさんの西側盟友は、中曽根氏も含めて負けん気が強かった。
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カナダのマルローニ元首相はスピーチ上手、とても音楽的で耳に心地よい。パパブッシュは文も読み語りも下手ですね。へただけど心がこもっていた。最も感動を与えた弔辞です。『副大統領の8年間、一生で出会った誰よりも最も多くの事をレーガンさんから学んだ』のところでグッと喉を詰まらせた。大統領ノミネートを争ったブッシュSRをランニングメートに選んだレーガンは、自分に心酔して協力するようになる予感があったのだろう。伝説的なレーガンの本能的慧眼のひとつ。
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語られたいろいろなエピソーど中で、パパブッシュが披露したレーガンの優しい矜持。And then I learned decency; the whole world did. Days after being shot, weak from wounds, he spilled water from a sink, and entering the hospital room aides saw him on his hands and knees wiping water from the floor. He worried that his nurse would get in trouble.
撃たれた翌日、付き人が病室に入ると、弱った体のレーガン大統領が手洗いシンクの水をこぼしたので床に膝して拭いていた。看護婦に迷惑かけたくなかったからという。(了) |
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