安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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イラクの将来はピンクグレー

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〈 Wed, 09 Jun 2004 〉



●国連安保理全会一致、イラク新決議案
サミット前日の火曜日、予定通りイラク新決議案が15-0で採択。D-Day、ノルマン ディーではすっかりシラクにお株を奪われたブッシュでしたが、シーアイランドのサミットでは嬉々としてホストをつとめますぞ。つづくレーガン国葬でも嬉しいホスト、ピッタリの役割です。。レーガンさんいい時に亡くなった。葬儀長がカーターやクリントンでは盛り上がりませんからね。
暫定政府が米軍主導多国籍軍の行動に拒否権を保有するという仏独露の要求は、ご当人のイラク側が米軍の自衛権を認めた上で、治安活動については相談してやりますという態度(安保理に出席したゼバリ外相)。それじゃ撤回せざるをえない。国連アナンとブラヒミ組の後押しも、UN,UNと言い続けてきた仏独中露にコギミよい圧力となりました。
米英のイラク侵攻に終止猛反対の先鋒だったド・ビルパン外相をシラクは内務大臣に移し、シュナイダー独外相はシュレーダーに黙らされた。仏独は威厳を繕いつついつのまにかポストイラクの地固めに入っていたのだ。多国籍軍に派兵しないものの、まあ見ていてください、民間企業の浸透を図るため大使館を充実させますね。『財政と自然資源(石油)の政策施行決定権はイラク人にある』という文言が決議案に盛り込まれている。
●ブッシュ・ドリームの挫折と現実路線
暫定政府から直接選挙による移行政府、憲法制定、憲法にもとづく再選挙による正式政府の発足まで政治的日程が盛り込まれた。だいたい達成できるのではないか。さい先よい兆候が続発している。今日は米特殊部隊がイタリア人人質を救出。初めての救出作戦が成功した意義は大きい。またアラウィ首相が民兵組織の解体に一応の目安をつけた。あとのフォローが問題だが半分ぐらいは警察、あるいはイラク国軍に吸収できるだろう。アブグレイブの虐待騒ぎも海外は相変わらずだが、イラク国内では急に興味が薄らいだ。
6月中の主権委譲は困難とする予想が多かったなか、2度コラム『混沌イラクに太い一本の道』を4月に書きました。ブッシュは遮二無二主権移譲して治安の前線をイラクに任せたい、描いていた純粋なイラク民主化の夢を捨てたのは明白、現実的な統治路線に転換したことを買ったわけです。バース党員排除、イラク国軍解体という大手術をして新生、民主化しようとした夢がうまく行くはずがない。この夢を追い続けている間は統治評議会の協力が得られなかった。民政官が弱く、国防省が仕切るとこうなる。その国防省が刑務所虐待で揺らいだのが結果として強い暫定政権成立につながったようにおもう。
大転換となったのはファルージャ停戦と同時に反乱民兵を元国軍司令官の下にファルージャ治安警察に組み込んだこと。そして上記の民兵解体合意である。サドル師のマフディ軍は含まれていないが、当然です。逮捕しても暴動がおこる気配なし。
ボブ・ウッドワードの新刊【Plan of Attack】にエジプト外相に聞いた話として『米 は国軍を解体などせず3ヶ月の給料を用意して、買収すればよい。武器の管理ができて治安問題は消滅する』趣旨の箇所があるらしい。ガンチクあることば。いまイラク暫定政府と米はこれにちかい現実路線を歩み始めた。とまれイラク史上初めての民主政体の発足です。 高望みせずともよかろう。(了)



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