安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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サウジのブラインドテロ

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〈 Sun, 30 May 2004 〉



4月、リヤドの警察本部に自爆カーボンブが突っ込んだ事件は記憶にあたらしい。それまでの外国人居住地区の襲撃、外国人オイルワーカー銃撃にみられる外国人排斥テロから、いよいよサウジ政府へ矛先をかえたかとおもわれたが、そうでもないようだ。土曜日早朝、リヤド近郊、石油企業が集中している都市ホバルの事件;自動小銃を乱射して外国人居住建物【オアシス】に人質60人をとってたてこもったイスラム過激グループ【アルクヅ師団】のネット声明は、石油泥棒アメリカ人は許さないというもの。このグループはアルカイダと関連があると自称しているが、アルカイダの誰だ?。
アメリカ人といいながら諸々の西欧人、イタリア人もオランダ人も人質になっている。レバノン人が釈放されたものの洋風習慣になってこの居住区に住むアラブ人は釈放されていない。ようするにアンチ西洋に凝り固まった論理なき集団がサウジテロの特徴といえる。
サウジ王家でつくる政府は石油開発・生産の技術を外国人技術者にたよっている。国内における教育、技術者養成をわざと怠ってきたので、いまでもが外国企業の協力がないと機能しない。いいところに住んでいるからといって彼ら外国ビジネスマンが勝手に石油を搾取しているなどと、突拍子もない理由が過激派一般に信じられている。こんな連中に殺されるほど無意味な死はない。
おまえたちテロに走るものが虐げられているのは外国人が石油を盗むからではなく、王制が盗んでいるのです。テロるならサウジ王家による特権政治を標的にするのが、まだしも理由として納得できる。そういう傾向が出てきたから、さきのアラブサミットにサウジトップのアブドラ皇太子は欠席したのである。この会議の共同宣言でアラブ民主化を盛り込む予定が気に入らなかったため。透明デモクラシーはサウジ王家の一番恐れるテーマです。
あのときカダフィが会議中退場したのはケンカ相手のアブドラ皇太子が欠席したので退屈したせいだと、小生は勘ぐっている。話がそれましたが、ばかばかしい理由であろうと十数人が死亡、50人の人質が2日目を迎えるという事態はサウジ王家には危機的な衝撃を与える。西側から治安不備を責められ、今後もやすやすテロられそうで、下がりかけた原油価格はまたあがるだろう。
サウジはアルカイダがらみの過激派を多数逮捕し、テロにはどのイスラム国家より厳しく対処してきたが、テロリスト揺籃の地といわれるだけあって、キリがない。サウジのブラインドテロがいまの王制で克服できるかあやしい。(了)



Pnorama Box制作委員会

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