安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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原油高とイラク特需で実益をあげるノルウェー

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〈 Sat, 29 May 2004 〉



今日もノルウェーの話。政府は大きな声で言いませんが、中東がらみでこの国は実益をあげているのです。 平和と人権の静かな国にも隠された顔がある。
●原油高騰でふくれあがる国庫
サウジが考え直して原油増産に踏み切ったので、やっと$40/bを切りましたが、原油高は長引くとみてよい。サウジについで2番目の石油輸出国はどこか ……答えはノルウェー。OPECに加盟していないため一般にはほとんど知られていませんが、事実そうなんです。イラクの石油生産は回復せず、イランは制裁措置で思うに任せないためここ数年は2番めになっている。
北海オフショー石油資源の開発は、コストが非常に高くつくので$30/bを超さないと利益があがらない。それが40ドルにもなると利幅が数倍になるわけで、ノルウェーのオイルファンドが今いくらに膨れ上がったのか、エネルギー省ですら即答できないほど日増しに膨れ上がっている。
ガス資源は世界の3%あり、この生産が本格化したので来年は自然ガス輸出の分野でもノルウェーが世界の五指にはいる予定です。海底石油ガス資源の開発はいったん生産が軌道に乗ると海底パイプ輸送をとおして自動的に流れるので、石油産業に従事するノルウェー人口は1%にも満たない。それでいて輸出総額の3分の1、GNPの13%を占めているのです。
原油高騰の原因がいろいろ指摘されるなかに、ノルウェーは入っていません。実際そ のとおりで石油高を意図したことはなく、35ドルで満足なのです。サウジのように栓を開け閉めして増減調節できる設備でもない。だが他力本願といえ、ウハウハ儲けていいものか。こういう事態は過去何度かあり、アブク銭は開発途上国にまわせと要求する声があがっていたが、今回はどういう風の吹き回しか、まったく聞かれなくなった。
正義の味方はどこへいったのだろう。石油産業は雇用に役だたず、ガソリン代は原油高を反映して1リットル170円に値上げされた。おもうに、一般市民はあちこち支援ばっかり拠出している現今にウンザリ、自分の財布が大事という気分だろうか。私は正直もういいという気分。
●戦争で稼ぐ軍需産業
ノルウェーは戦闘機や航空母艦など大型兵機は作れない が、その部品や、武器弾薬
はけっこう優秀で、ラウフォス兵器社(http://www.raufossas.no/default.htm)は実績がある。イラク戦争が始まって以来、米英豪への輸出が急増し、総額550億円、収益が2倍強になった。ノルウェーの製造本社は数百人しかいないのでその高収益たるや推して知るべしです。欧州軍需産業大国のフランスはイラク特需から閉め出され、兵器に定評のあるスウェーデンはイラク派兵を断ったため伸び悩み、デンマークとノルウェーが漁夫の利を得た 。(了)


Pnorama Box制作委員会

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