安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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南スーダン和平

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〈 Thu, 27 May 2004 〉



26日、米はアルカイダの本土攻撃が夏 〜秋にあると警告、プーチンは6年でロシア経済倍増計画を発表するなど目移りしましたが、当地ノルウェーの仲介が実って和平成立したスーダンを解説します。オラが国自慢です。
●南北で異なる宗教とエスニック
スーダンはアフリカの大きな国だが砂漠地帯なので人口は3300万人、それほど多くない。エジプトの南、紅海を挟んで対岸はサウジである。北部はアラブ系でイスラム教、南部はアフリカーナでキリスト教。とくれば文明の衝突だ。北が政府軍で南が反乱軍(SPLAスーダン人民解放軍)という構図です。
1955年に市民戦争が勃発して以来、なか10年ほど休戦状態があったが、最近は村をつぎつぎ焼き打ち皆殺しが凄まじくなっていた。内乱20年の結果、200万人が殺され、現在450万人が国内難民として砂漠の白テントで生活、砂塵でぼけた視野に石のような群衆がジっとしている。ほとんど栄養失調で幼児が眠るように餓死していくありさま。
で、この仲介にあたっていたのがノルウェー開発相の Hilde Frafjord Johnson さん、30代の女性。ここでいう開発省とは開発途上国援助を行う省のこと。生い立ちは宣教師の子としてアフリカで育ち、学校は英国スクールだから、スワヒリ語/英語/ノルウェー語を母国語にするマルチリンガルさんなのです。
●ブッシュが和平力で推進
もちろん、パワーポリティックスで和平に圧力をかけたのはブッシュさんで、硬派キリスト教徒として南の反乱軍をアメとムチで説得、パウエル長官を何度か派遣し、スナイター国務次官補(アフリカ担当)をはりつけた。また難民が流入するケニアが公式の仲介役に外相を指名しています。しかし、実際に、政府軍と解放軍両者の相談相手になって重要な役割をはたしたのはヨンソンさん。
明日が調印式の前夜、ヨンソンさんがオスロのレストランで食事中、解放軍リーダーのガランが携帯電話をかけてゴネるのにこんな返事をする彼女:
『だめよいまさら、それくらいお互い同意してほしいわ。明朝ナイロビに着くまでに完了してね』。 写真のようにレストラン外の階段に座り込んで話し込んでいます。
かくて、アフリカ各国のお歴々が参列して、ケニヤで無事調印。政府軍代表のとなりに座ったヨンソンさんも署名しました。このあと国連スーダン決議をまって、停戦と南・北権力配分による包括和平が成立する。(了)


Pnorama Box制作委員会

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