安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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グルジアの平和統一とチェチェン紛争の行くへ

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〈 Tue, 11 May 2004



チェチェンとグルジヤについて、何回か書いていますがプーチンがどうやらこのロシア辺境の地域を掌握した様子だったので、最近はごぶさたしていました。
●グルジアの大団円
グルジヤではサーカシビリがシュワルナゼを倒して少しアメリカ離れになりましたが、プーチンが南西部のミニ自治共和国アジャリアに押し込んでいた傀儡アバシゼ最高会議議長が市民2万人のデモで退陣。晴れて体格のいい若者サ?カシビリ大統領が全土を制圧したことになる。
このように米とロシアが“平和的に干渉“してある国の再出発を助けたことはほとんど過去に例がないようにおもう。もっと賞賛されてよい。プーチンとしてはソリの合わないシュワルナゼが消えたのでアジャリアから中央政府を牽制する必要がなくなったといえ、アジャリアはカスピ海石油利権のためにツバをつけておいた傀儡自治国なのです。プーチンは目論んでいたトルコ経由欧州へのパイプライン敷設を手放した。ま、カスピ海北部のロシア領に石油資源を保有しているので一戦まじえてまで確保する価値はない。でも、一時はヤルかな?と緊張しました。
新設の国家安全保障会議を束ねる閣僚に転任したイワノフ前外相は、プーチンのお 使いで自治共和国の首都バトゥーミ(トルコ国境の海港/石油基地)に飛来、アバシゼ氏に引導をわたした。イワノフさん、まだ適役があってよかったね。
●チェチェン……権力の空白
反して、グルジアのお隣国チェチェンは先日のサッカー場の賓客ヒナ壇爆破テロ によって雲行きが、怪しくなってた。なにしろプーチンが昨年10月に、あらゆる手を尽くして大統領に当選させたアフマド・カディロフ大統領が爆殺されたのだから、プーチン個人へのテロでもある。怒りましたね。犯人に厳正な処分などと言わない、必ず『報復する』とミエを切りました。
しかし、プーチンは頭の回転が速い。その日のうちにカディロフの息子をモスクワに呼んで記者会見し、故大統領を真の英雄と持ち上げて息子を紹介。後継者はこのジュニアにするぞという意思表示である。チェチェン首相はすっかり無視されちゃった。
ところが、あまり頭のキレがよすぎるとおもわぬ不覚をとりますね。ジュニアのラムザン・カディロフは27歳、大統領は30歳以上という規定があっていかなプーチンとてゴリ押しは無理でしょう。それにこの親子はチェチェンでひろく恨まれている。
故大統領は元チェチェン分離独立派のゲリラとして首都グロズニーが廃墟になった戦闘(エリツィン時代の94−96年)に加わっていた。その後プーチンが空爆で比類なきまで鎮圧した結果、もはやこれまでと観念したカディロフは連邦側に協力、歓心を得て大統領にならせてもらったのである。得票率80%のイサカマでね。さような寝返り者がチェチェン国民に受け入れられるはずがないのです。カディロフは周囲を忠誠を誓う子飼で固め、3000人近い警備隊でいわば力の平和を外見上保っていたにすぎなかった。
この警備隊を統率しているのが4人いる息子のなかでデキのよいとされる27才のラムザン・カディロフ隊長だ。プーチンが『報復』を望むならなら最適の人物、弔い合戦だ。こわ〜い話です。
さて、親連邦と組んでプーチンの意を受けた者を大統領にするか、グルジアのようにチェチェン人の直接選挙に委ねるか、それとも第3次闘争に発展するか、解決の糸口がみえない。(了)


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