安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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大EU-発足4日目のオスロ入管

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〈 Wed, 05 May 2004



●やってきた労働者
ポーランドから70人の労働者が、火曜日オスロ警察の外国人課(移民局)に押し寄せました。一見、腰をぬかすような話題で、実際この件を取り上げて反欧州連合を煽るグループがあるが、それははっきり言って危惧にすぎません。本日は新加盟国から労働者がナダレのように流入する現象はおこらない‥…について事情を紹介します 。
旧EU諸国は団結し、新加盟国に対してあの手この手で制限規則をを作り、7年間のソフトランディング期間をもうけているからです。ノルウェーはEUに加盟していないが、シェンゲン協定というのが結ばれていて、EU諸国とノルウェーのあいだでは自由出入国できる。経済面ではEOSでEU圏に入っています。そうすると晴れてEU国民となったポ ムランドやチェコの労働者がノルウェーやスイスなどのシェンゲン国に流入するだろう ……というので、ノルウェーも一年前、抜かりなく新EUに対して新規制を作って対応しているのです。
もちろん、旧EU大国や、後入りのスウェーデン、アイルランドなどにたいしては自由移動をこれまでどおり互いに認めています。あ、マルタとキプロスも気の毒だから規制適用しないことにしました。バイキングの情けですな。
●雇用者側の要請が必要
さて、ポーランドは晴れてEU国ですから、お金を持って入国するだけなら大手をふって入ってこれるようになった。ただし、ここから先は厳しい規制が設けられていて、今回の70人は当地の人材斡旋会社を通して就職先が決まっている人たちです。ちがうところは 必要書類の簡素化と、精査待ちがなくなったので滞在許可発行が 数分であっけなくパス。
だから、そんなに簡単か?いぶかるのも無理はないのですが、書類には、雇用主がノルウェー労働法にしたがい、最低賃金法、福祉医療サービスから有給休暇まですべてこの国のサラリーマンと同じ待遇が保証されている。期間もとりあえず1年間。入国してから仕事を探して ……という方法はゆるされません。
この70人がどういう職につくかというと、ほとんどがトロンハイムの広場作りに石畳を引いたり、建設作業につく。この種の熟練作業員がまったく不足しているそうで、お互いメリットがある。人材会社では前もってポーランドで人材を募集し、ノルウェーの文化歴史、カタコトを学習させ、ある程度選抜もしているようです。
●ワレサ、EUの労働規制を罵倒
EUの最高決定機関は欧州理事会ですが、その株組織に国会にあたる欧州議会があり、大EU発足後はじめての議会がストラスブールでありました。さっそく新加盟国からEU労働法に不満が爆発し、ハンガリー代表が規制撤廃を、招待されたワレサ元大統領が生まれつきのガラの悪さを発揮して“共産主義”と切り捨て。前途たなんではあるが、人口の一方流入はおこらない。(了)


Pnorama Box制作委員会

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