安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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現実主義者のブレアとサルコジ
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〈 2007年 5月 12日 土曜日 〉


●シラクにお別れのごあいさつ
ブレアは退陣表明の翌日パリへ飛んで来週引退するシラク大統領にお別れのあいさつに行きました。日帰りでお別れの挨拶、それだけのための訪問です。こういうところがブレアイズム(Blairism)の真骨頂で、あれだけ嫌われた相手にスジを通す。老いたシラクはブレアを温かく、おもわずハッグしましたね。ちょっと驚きました。飛ぶ鳥後を濁さず、それくらいの矜持はあるシラクさんですから驚くほうがバカでした。

前回のエリーゼ宮会談では会談では『この若僧め、とっとと帰れ』ってなわけシラクさんは恒例記者会見を拒絶、お手上げのブレアは随行記者団にイギリス大使館に廻ってもらい、そこでプレスインタビューするはめになりました。それほど冷え込んだあいだがらで、プーチンだって胡錦濤だって決められたスケジュールは守ります。いかにシラクvsブレアが嫌悪だったかです。

ヨーロッパ首脳会談ではあからさまな口論が何度もみられました。イラクで袂をわかったことよりも、イギリスがEU分担金軽減を主張した時ははシラクさんカンカンになり、以来、ブレアの頼み事、フランス牧畜農業への補助金非難など、すべてノンである。シラクさんが怒った表情は、マフィアの親分も凍り付くような凄みがあります。以前いつだったか望遠ヴィデオが捉えたこの威嚇するニラミについてコラムに書きましたが、この貴重な映像はどういうわけかその後のメディアで一度も見られなくなりました。

今日の会談では過去を水に流してシラクさんは若僧ブレアを屈託なく迎えました。違えながらも想い出を共有する二人には共感が当然ありますもの。しかしながら、シラクの意を受けて活躍したド・ヴィルパン首相にブレアは挨拶にいくどころか、ずーっと会ってもいません。溜飲をさげました。

●ブレアのスタイルを目標にしてきたサルコジ
ブレアはそのあと、サルコジに会いに直行し、ブレアを師と仰ぐサルコジ新大統領と会談、まだ正式に就任していないサルコジはレストランで私的な夕食をともにしています。労働党のブレアと保守のサルコジがなぜ?と、知らない人はおもうでしょうが、マルキストやレーニスト、マオイストなんぞ本家ですら見られなくなった現在、ドグマよりプラグマチックが政治スタイルを作ります。サルコジ、ブレアの二人はどちらも直面する現実に具体的な対応策を捻出し実行する現実主義者で、ドイツのメルケルもそう、いまは野に下がったイタリアのベルスコーニもおなじ現実主義者としてブレアとソリが合いました。

さて、サルコジの日程では大統領就任後、ただちにボンへ飛んでメラケルさんとまず会見する。アングロ-アメリカンに対するフランコ-ゲルマンの関係ゆえ、よそ者の口出しすることではない。また国益に衝突する英仏外交関係は隣国だけに多く、しかも微妙であり、今後の英仏関係が特に好転することはないけれど、少なくとも首脳同士、サルコジとG・ブラウン、また2年後の選挙でおそらく勝つであろう保守のデイヴィッド・キャメロンとサルコジの関係は良くなると展望できます。(了)

余談・●関係ないことですが、サルコジの右腕となる次期フランス首相は夫人がイギリス人。●サルコジ夫人はありゃなんですか、品位もへったくれもないお姐ちゃん、態度わるいな。2度目の奥さんは前妻より美人と相場はきまってまして、その通りスタイルもよしなんですがファースト・レディーとして先がおもいやられる。



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