安達正興のハード@コラム

Masaoki Adachi/安達正興


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「悪の枢軸」は近来のヒット作

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〈 Fri, 22 Feb 2002 〉

ブッシュさんが東京からソウルへ、既に北京で中国首脳との会談をおえ、日程終了。今回は警官隊と衝突する適度なデモに迎えられれたブッシュ訪韓をとりあげます。ブッシュ大統領が朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を「悪の枢軸」と非難したことで、韓国世論はこころ穏やかでない。仲違いしていてるが同じ民族、身内を非難されて喜ぶ道理がないので、その辺はよ〜く理解できる。
ブッシュさんもそこらを考慮して、金大中大統領のサンシャイン・ポリシー=包容政策を支持を表明、米国は侵攻する意志がなく、私たちが願っているのは韓半島の平和だと、韓国政府に配慮した文言である。とはいえ基本的認識は変わらない。微動だにしない。メイク・ノー・ミステーク!
21日、スピードスケートの金東聖がトップでゴールして狂喜したのも束の間、走路妨害を理由に失格という判定。金メダルはアメリカ選手の手に渡った。熱狂する観衆。東聖クンはこともあろうにウイニングランで掲げていた母国の旗を叩きつけた。アメリカこそ悪の親玉、韓国市民の怒りはこのままでは収まらないようですね。
さて「悪の枢軸」にたいする一般的な反応は、オゾマシイ言葉の嫌悪だけが一人歩きして、[単純、思慮にかける、緊張を高める、対話と平和へのこころみを阻害する] 等々。日本に限らず、アジア、アフリカ、ロシア、ヨーロッパでもこういった意見がメディアと世論の趨勢である。
しかし筆者の見解は「悪の枢軸」を近来のヒット、アメリカのワールドポリティックを・誰にでもわかるように定義した。秀作。近頃とみにそう考えている。言論の自由と信教の自由ほど有り難いものはない。活用させていただきます。
○ まず、韓国にたいするテロの事実を検証しよう。
1983 韓国閣僚が命を落としたビルマ(現ミャンマー)・ラングーン廟爆破事件
1987多数の死者を出した金賢姫工作員(当時)らによる大韓航空機爆破事件。
1992 , 95休戦ラインで起きたゲリラ侵入事件、
1996, 98東海岸で発生した潜水艦侵入事件、乗組員は自決。
日本にたいしては、スパイ工作船、日本人拉致(欧州でのよど号一味による日本人誘拐を含む)、弾道ミサイル・テポドンが日本領空をまたぐ、などご承知のとおり。
○ 軍事力増強に奔走。
アメリカとの枠組み合意が発効されないまま、北朝鮮の弾道ミサイル開発と輸出、兵器輸出が続行されている。ノドンミサイルがイランに輸出された。条件である核拡散防止条約によるIAEAの査察を受け入れないため、見返りにアメリカが供与する原子力施設の納入は棚上げされたままだ。北朝鮮との対話はこれら枠組み合意の約束が履行されればいつでも開かれている。生物化学兵器、核弾頭開発の疑惑がつきまとう。また米日韓は定期的な会議によって北朝鮮政策を一本に協調している。
○ 北朝鮮にアメリカが実施している国連を通した人道援助を見てみよう。
1955年いらい、1800万トンの食糧、価格にして約6億ドル。今年に入って既に5500トン貢献、追加援助を検討している。「悪の枢軸」と名指ししながらも、政治と切り離した人道援助が綿々とつづいているのである。
○ 北朝鮮の農業政策は完全に失敗した。
豊作の年ですら餓死者が出るありさま、国営集団農場の非を改めようとしない。明らかな人的災害が恒常化しているにもかかわらず、国民を犠牲にして、財政を軍事費に注ぎ込むばかりだ。日韓欧米から供与された人道援助の一部を輸入品の支払にまわしたり、ロシアへの支払は殆どが労働で、つまり北朝鮮の労働者をロシアへ貸し出している。テポドンより、戦車とマス体操のパレードより農業改革、経済改革が先決。まず生活の安定に取り組め。38度線がなくなり、半島に平和が来ることを願う。
以上がブッシュ訪韓によせる金正日へのメッセージ*の要旨。どこにも挑戦的、侵略的な意図がみあたらない。これはアメリカの決意を示す警鐘です。当該国の為政者なら明確に理解できるメッセージ。悪の政権に宛てたメッセージであり、名指しされた側ではもちろんそう簡単に割り切れませんが国民は犠牲者とされている。
テロリスト国家がアルカイダのようなテロ組織と結ぶ最悪の事態を決して許さない。アメリカは自由と民主主義を断じて守り抜く。それは韓国と台湾が侵略されたら戦うぞというメッセージにほかならない。メイク・ノー・ミステーク!

* ジェームス・ケリー国務次官補のスピーチをベースにしました。
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Pnorama Box制作委員会

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