安達正興のハード@コラム

Masaoki Adachi/安達正興


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カブール空港 リンチ殺害

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〈 Sat, 16 Feb 2002 〉

まず14日のニュースでは、暫定政権のアブドル・レーマン航空・観光相がカブール空港で激高した多数のアフガン人巡礼者のリンチによって殴り殺された。約1000人の巡礼者が3日前から空港の外で出発を待たされ、苛立っているところへ、航空・観光相が専用機に乗ってどこかへ飛びたとうとしたので、引きずり下ろして集団暴行を加えた。そういう話だった。
翌15日、カルザイ議長が記者会見で、「個人的な恨み、確執が原因で計画的犯行であった。」3人を逮捕、もう3人はメッカ巡礼者に混じってサウジアラビアに逃亡したという。お尋ね者は、政治局公安委員長の将軍(名前はややこしいので省く)国防省技術課補佐、法務省官僚。
「怨恨殺人、政治的なルーツはない」とカルザイさんは言う。
殺害を計画したのは反タリバン闘争のとき、北部同盟に属して共に戦ってきた一派である。殺されたアブドル・レーマン航空・観光相はこの一派から脱退していた。
カルザイさんは詳しく語らない。BBC特派員によるとこうだ。タリバンが疾走したあとカブール一番乗りを果たしたのがこの一派 Jamiat-e-Islami で、その一員だったアブドル・レーマンはザヒル・シャー前国王支持者になった。そのため恨みを買ってしまった。
カルザイさんがなんと言おうと政府内部の人間が関わった政治的事件である。また、アブドル・レーマンが専用ジェットでどこへ飛ぼうとしていたのか、インドにいる家族に会うためらしい。餓えと寒さに震える民衆をあとにのこして・・。第一報の激昂した巡礼者のリンチは衆目の知る事実。こちらの方が自然に思えるのだが。
ビザを発給するサウジ政府と暫定政権との間でまだ外交関係があやふやで、大使館は封鎖したまま。たしかカルザイさんは東京へ来る前日、リッチなサウジを訪問して支援金をお願いしました。そのとき例年のメッカ巡礼ヴィザの件が話題になりませんでしたか。
政権内部の抗争、腐敗が見えてきた。復興の立案者がこのザマ。北部同盟のボス、ラバニさんは何ら役職に就いているわけでもないのに、カブールの宮殿・政府に所属する建物に陣取って、いまも隠然たる勢力を持っている。
つい先日のサッカー競技場前の暴動、今回のリンチ、盗賊出没、治安が極度に悪い。国連治安維持軍は当所の半年を延長するだろう。アフガンの治安警察も増強しなければならない。政権ゲームに明け暮れ復興を忘れ、貧困救済を国連と海外民間団体にまかせてあとまわしにする悪循環が、このアフガニスタンにもやってくるというのか。
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Pnorama Box制作委員会

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