安達正興のハード@コラム

Masaoki Adachi/安達正興


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侃侃愕愕 お喋りはたのし

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〈 Fri, 15 Feb 2002 〉

昨日は客人をむかえ、話がはずんだ。当地のさる船会社が毎年今ごろ、本社の幹部と世界各地の事務所代表を集めて会議を開く。ホテルにカンヅメになって、年間報告やら、これからの見通しを討論し、今年の企業戦略を絞りだす集まりである。この例会に東京オフィスからDさんとスタッフのIさんが来ているので無事会議が終わったあと、一夕をともにした。Dさんとは20年来の知り合い。ここ数年、初の日本人所長になって以来、こうして毎年一度会えるようになった。
景気が悪く、業績があがらない苦しい立場にある海運業界はかなり深刻らしい。Dさんの東京オフィスは、日本の海運業界のなかではうまく行ってるようで、吊るしあげにもあわず安堵したようす。客はもう一人ノルウェー人の友人Vさんと家内も加わって5人、おおいに話がはずんだ。ワイフは私の「口からでまかせ」を監視してくださる。
さてどうして景気を上向かせるか。まず不良債券の処理に取り組め。小泉さんの改革優先順位が逆だ。構造改革、行政改革より、金融不安を解消しないかぎり国際ビジネスが進まない。
Dさんは、日本人一人千円余分に使えば、GNPを7%押し上げるのと同じ効果があるという。また日本が抱える財政赤字を、全家庭にに振り分けて、数値的には確かではないが一人100万円としよう、たとえばDさんの4人家族なら400万円。これで景気が回復するなら「オレ喜こんで払うよ」と力説する。
うちは無いなあ・・家内と私が顔見合わせる。この国では貯金しないから。70、80の老人は蓄えがあるものの、20代から50までは赤字家計がふつうじゃない。
「しかしノルウェーの国はお金持ちです、国の黒字を国民で分けると平均的な4人家族で3700万円貰えます」といつも正確なVさん。北海石油がもたらす利益である。棚からぼたもちを取られたくないのでEUに加盟しないのだ。漁業権だって取られたくない。だからアイスランドもEU嫌いなの。
日本のデフレ傾向は当地でも報道され、「あの国もとうとう駄目らしい」などと短絡的に受け取りがちだ。日本の個人が持つ巨大な現金貯蓄、企業の海外資産、政府が抱いているアメリカ国債を考えれば、日本経済の底力は超大国に恥じない。意気軒昂な結論におちついた。とはいえ、企業の自己資本率平均が0.6だとか? 恐ろしい数字がまだまだ出そう、コワ〜イ。
中年にさしかかった若いIさんは、会議で50才の上司と二十歳すぎの社員が堂々と喧嘩腰でやり合うディベートを目の前にしてびっくり、憤慨と感激でふくざつな心境。「あんなこと日本ではとてもできない」。「おや、そう、ちょうどいいからDボスとやってみたら?」
同じ北欧でもルウェーは特にラフではある。褒められたことではないが、上司の部屋に「ちゃんと仕事しなさい、そのために給料余分にもらってるんじやありませんか」、「もうこんなヘマしてー、おまえなんかリーダー失格だよ」と 怒鳴り込む部下がいるそうですよ。下の反乱はよくありますね。また大臣に指名されても、いま子育てで大変なときだからという理由で就任を辞退し、それがもっともな理由として通用する国なんです。Iさん考え込む。

Pnorama Box制作委員会

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