安達正興no高見の見物 なんじゃこら!(コラム)

Masaoki Adachi/安達正興


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北方4島は返らない

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〈 Sun, 03 Feb 2002 〉

ロシアは、択捉(えとろふ)・国後(くなしり)・歯舞(はぼまい)・色丹(しこたん)の北方4島をを返還しない。可能性はゼロ。
なぜロシアは北方4島を返還しないか。ロシア国民はカムチャッカから北海道まで弓状に連なクリル諸島を一括してロシア固有の領土とおもっている。ロシア憲法に明記されているうえ、教科書にも地図にもロシア領土なのです。一朝一夕に国民のオモイコミを変えられません。(余談,地質やさんはクリル火山列島とよぶ。)
そういう国民に「いえ、あの4島はですね、前大戦で日本が降伏する前に占領したものでして、そろそろ返そうかなと・・」なんて期待できますか。食えなくても給料が遅滞しても「つよいロシア」を要求する誇り高い国民にむかって返還を口にすれば政府がコケる。だからロシア政府が返還に応じるべきか、おくびにも国民に問うたことがない。また国際的に日本の主張を後押ししてくれる国がないので、ロシアは強気になれる。2000年までに平和条約をうたった「クラヤノス合意」、できるわけないのにあんな小細工して。ロシアはなんとしても経済投資が欲しいから、毎回交渉継続に同意して経済交流をもちだす。関係は悪くならないから心配無用。外務省は、進出日本企業や投資を守るため、ロシアの法整備に尽力おねがいします。
ゴルバチョフ、エリツィン、プーチンさんたちといったい何度、共同宣言をだして握手したことか。茶番劇はもうあきた。とはいえ、ここが肝心かなめなんですが、一縷(いちる)の望みなき領土問題にしてなお、日本の対ロ外交は「北方領土返還なくして平和条約締結はありえない」原則を気長に貫きとおしていこう。世代がかわれば世界もかわる。ある晴れた日が来るかもしれない。
平和条約がなくても政府・民間をとわず経済・文化・観光・なんでも緊密にできる。経済活動と領土問題は切り離せ。ロシアはデカイ資源の国だ。日本はシベリア開発に乗り出す国際企業にすでに遅れをとっている。我が国のエネルギー(水力発電/ガス)は将来シベリアに活路を求めるようになる。企業の意を受けた政治家の利権争いで出遅れたり、ボヤっとして後で悔やんでもはじまらない。ロシアビジネスにリスクはあるが、日本経済活性のチャンスと捉えたい。
川口vsイワノフ会談があった。昨日のコラムではどうせなにも新しい進展が望めない会議なので川口さんのデビューについて言及しなかった。また老獪イワノフさんは北方4島の経緯を熟知しているうえに、真っ直ぐ相手を見据えて威圧する。表情は変わらない。たまに困った顔でもしてくれればホッとするのに、やりにくい相手だろうな。川口さんが落ち着いて日本側のこれまでの立場を主張されればよかろうと気にしなかったが、会談後の記者会見では川口外相に余裕さえある。次の会談では金正日北朝鮮と平和条約結んだのはどういうつもりか、イワノフさんに糾していただけませんか。さて、今日も一献さしあげましょう。

Pnorama Box制作委員会

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