安達正興no高見の見物 なんじゃこら!(コラム)

Masaoki Adachi/安達正興


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身辺生活日記(1)

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〈 Thu, 31 Jan 2002 〉

わたしの日々の暮らし、きょうの一日を綴ります。

家内が遅出の日なので小雪まう中、一緒に乗せてもらい町に行きました。10分で市の中心に入る。わたしは車を運転したことがない。免許がないから。現在はホームオフィスで蟄居しており、出不精になりました。
ベルゲンは人口20万、ノルウェー第2の都市、古くからハンザの町として栄えた港町、オスロよりもウンと古い歴史ある古都なのです。その市街部へ出かけることを「町へ行く」と申します。用事は本屋で少し資料集め、それとオランダから「JAPAN」という雑誌が隔月にでていて、素晴らしいマガジンだと建築家の友人が褒めそやす。見てこいと最近しつこいのでパラパラ立ち見した。実は眼鏡を忘れてきたのであわれ、見出ししか読めない。
ある日本人建築家に注目。柱が変わっている。鳥篭のような金属フレームが、よじれて斜めに床から天井に這い上がり、中空で透けて曲がっている力学的には柱なのだが、柱の概念を打ち破った。オブジェのようで、部屋の空間が自由に感じる。え〜建築家の名前を忘れた。2番目の記事はある映画監督の長い映画人生と作品回顧。今村昌平だったか、またも名前を忘れた。それから亡命フジモリの記事、雅子さまが少し。日本の文化、社会のトレンドを掘り下げた良心的なジャーナリズム。ただ私はあまり興味なし。しかし、関心がないというのは恐ろしいことで、特集にあった二人の名前が思いだせない。花の名前やご近所の誰それさんは、何度すっぱく言われても覚えられなくて、家内を嘆かせる。
本屋のあと、上海出身の画家で書家、カオさんの個展を覗く。ご本人は居なかったが。水墨画や淡彩で軽快な作品がこころよい。掛け軸に表装された水墨画はまさしくノルウェーの森、フィヨルドや滝である。ではあるが、趣はどこまでも神仙な中國の山河の如く・・一気に描きあげたのが実にイイ。買ってきた画集の自序には、中国の伝統手法と西洋の技法を融合せんと邁進・・とあり、それらしい水彩を塗り重ねた作品があったが、イタダケなかったな。ビフテキに焼きそばまぶしては食えないと思うんですが、トライされているのでしょう。花鳥風月、松竹梅、馬や鶏も手慣れた冴がある。
カオさんの奥さんは神戸で中華料理店をしておられ、阪神大震災で全てを失い、このべルゲンに移って来られた。なぜべルゲンなのか一度聞いてみよう。当地で小さな中華と和食を開店、「上海神戸」というお店。しっかり者の奥さんが店を切り回し、主人が奥で料理を作って奮闘、安くて美味しいのでよくはやっていました。店もきれいに拡張できたのですが、「もう年です」を理由に引退。上海とべルゲンを往復する生活をつづけ「主人は絵に専念しています」と、毎年上海から年賀状をくださっていた。上海とべルゲンに拠点をおいて、現在は上海同済大学文化芸術学部教授。この一月還暦を迎え、これからがJINQIAN CAO (曹 瑾乾)さん百花繚乱春の時代。ご多幸を!
このあと、骨董屋により地球物理の知り合いとバッタリ、帰りのバス停でまたうれしや、友達に逢う。(次回につづく)

Pnorama Box制作委員会

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