我がニッポン日本・高見の見物（コラム）
Masaoki Adachi/安達正興
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食糧自給と兵糧攻め、農業を考える
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〈Mon, 28 Jan 2002 〉
| 愛読者の大兄Ｓ.Ｉさんより、「大事な農業問題について何か云え！」と応援？をいただきました。 |
| Ｓ.Ｉさんより引用 >>今や中国を筆頭として多くの国より食料を輸入。これでは、農耕民族の日本農業がだめになる。いざという時、日本はひょうろうぜめされると、ひとたまりもない。自給率が低いのは、百姓だけのせいではない。<< |
| なるほど切実なテーマです。私も含め、農業をやったことのない人間や飽食世代についていえば、食べていくための収入にヤキモキしても、食糧がなくなると考えたことないのでは。スーパーへ行けばあらゆる食品が簡単に手にはいる。食糧難を経験した大兄や私の世代でも、こんにちでは平気でグルメに凝ったりして、どうしょうもないですね。美味いものには負けますから。それでもイモアメやニッキを歯噛んだ記憶があるので、日本だって「ひょうろうぜめにあう」という警笛にギクっと反応しました。かつて石油切りで戦争に突っ込みましたものね。 |
| 食糧自給率は先進国で最低、農水省は平成２２年に自給率４５％ を目指すという。総理府の調査・1996年によると将来の食料供給に「不安」を感じている人は、７８.４％。この調査結果は平成５年におこった凶作で、外米を緊急輸入した混乱が影響しているだろう。それを差し引いても信じられない高い率、大部分の日本人は食糧が不足しないかとかとハラハラしているのでした。街を歩いてそんな表情は微塵も見受けないんですが、ハテおかし〜な。 |
蓋し、不安の理由は未来の確定事項として厳然とある：
○環境の悪化、異常気象や水害風害、地震もある。
○世界人口61億は2050年に9３億に達すると国連が予測、食糧生産が追い付かない。事実93億になるとしたら、もはや環境破壊が地球を滅ぼすだろう。大気汚染、海洋汚染、魚類はサンプル程度に激減、地球温暖化、土壌劣化、水質汚染。もはや回復不能、 戻れはしない。
○もし何もせず放置すれば、あと５０年で人類の終焉を感知できる不可逆性の時代に至る。
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政策面でも不安がある：
○中国のWTO加盟、小泉政府が提唱する拡大ASEAN の経済体制や域内のFTA・２国間自由貿易条約などがで関連してくる。自由貿易、関税撤廃が目的のWTO農業交渉で日本の農業を例外的に保護する交渉は困難だ。合意するためには農家への補助金を減らさざるを得ない。農水省が計画した備蓄米や、生産調整、作付けの指針はそれぞれ立派な分析 です。また「食糧安全保障」という有事法制を先取りしたような不測の事態にそなえて取組んでいます。しかし筋書きどおりに運ぶか否かは別問題。このお役所は狂牛病や雪印の和牛など、現実的な対処にポカが多い。
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| 昨年暮れの中国産ネギ、生椎茸、畳表の輸入増大に対してセーフガード（緊急輸入制限）を発動しようとしたが、日本車関税を２倍に跳ね上げられ、携帯や売れすじのエアコンにも関税措置で対抗されて経産省は腰砕けにおわった。かくして日本農業はつねにお金を稼ぐ他品目の犠牲になっているのである。 |
| 輸入増大に対抗して無農薬有機米や、流通を簡素・迅速にして新鮮な野菜を供給、スピード栽培法など、智恵を絞って涙ぐましい努力が積み重ねられる。とはいえこれらは間隙をつくニッシェ商法ゆえ、根本的な解決にほど遠い。 |
人が去った村、雑草に埋まる田畑、跡継ぎ手がない農家の高齢化、食糧生産は毎年減少し、ダイコンの収穫が減っている理由が、重労働でお歳寄りにはキツイからだという。
若者よ！土に帰れ！絶叫してもはじまらないわな。いかに農耕日本の健全な姿と国内自給を改善するか・・それは正眼の構え・日本改造論ですよ。Ｓ.Ｉさん、わたし一礼して退場させてもらいます。皆目見当つかないのです。
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ひとつ思いだすことがある。日本が東南アジアから木材輸入を大規模におこない、森林伐採による環境破壊で周りから日本糾弾をあびたとき、わたしは「売ってくれるから買うのだ、どこが悪い、輸出する方がワルイのだ」。メチャな反駁したものだ。今回は立場が逆になった。
食料品輸入業者も多くは日本人業者です。輸入元が儲けにつられてガムシャラに業績拡大に奔走しないでいただきたい。またわれわれも秩序ある輸出を相手国に言う前に、輸入元へ自粛するよう要請するべきではないか。
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| 世界的な凶作の年がいずれ必ずやって来る。近隣諸国で有事がおこるかもしれない。水産、畜産、農産物の輸入が滞ったら、「兵糧攻め」が現実のものになる。そのときは北朝鮮から雑草と、木の根の食べかたを教わりましょうか。 |
