我がニッポン日本・高見の見物(コラム)
Masaoki Adachi/安達正興
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クリントン前大統領の一声価い千金
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〈Wed, 23 Jan 2002 〉
月曜日にロスアンゼルスでクリントン前大統領の講演会があった。講演料の謝礼が史上最高になったという。20万ドル、いま円安だから20万x130円で2600万円になる。いいとこ1時間、演壇で話をすればこれだけ、5分で216万円以上になる。 |
今から1年前に大統領を退任して以来、世界中から講演依頼があり、おおよそ10万ドルから15万ドルがクリントンさんの相場だった。ふつうは1年もすれば講演料が下がるところ、クリントンさんは例外らしい。 |
去年夏に北欧コペンハーゲン、オスロ、ストックホルムを回ったとき、特別樹でやってきた。私設ボディガードや秘書官など20人ぐらいお付きをしたがえ、市警の警備もきびしかった。政府も歓迎おもてなしに奔走、さながら現職大統領のようでした。 |
オスロの時は入場料が最低で10万円くらい、売り出しでたちまち満席になり、席数が限られているので、最高どれくらプレミアムがついたのか見当もつかない。誰がそんな高額払ってクリントンさんの話を聞きにいくとおもいますか。実業界のリーダーや大物政治家、ソシエテ、メディアの人気者が多かった。要するに金持ちとジェットセットの示威行為、エリートパーティーみたいな一面がある。 |
オスロの講演では『いかに人とコミュニケートをはかるか』についてノウハウを教えるという興業者側の実利的な前宣伝があって、それにつられてセールスマンが無理して切符を買った例もあった。ところがクリントンさんの話はこれまでの国際政治のエピソードや、人類が抱える問題、これからわれわれはどうあるべきか、など高尚な話に終始、セールス売り込みのコツなんぞまるで関係がない。詐欺で訴えてもよさそうなまえ宣伝なのに、会場から出てきたセールスマンはただポワーンと感激、素晴らしかった、偉大な人だと連発して、まるで怒らない。それだけクリントンさんにはカリスマの魔力が備わっているのだろう。 |
ロスアンゼルスの講演会では、前座をオルブライト前国務長官、エウド・バラク前イスラエル首相、民主党政策委員のジェームズ.カーヴィルが務め、聴衆6,600人、大イベントである。政治がオモシロイ、市民と政治の結び付きがあるからこそ可能なイベントである。 |
スポーツでもない、芸能でもない、テーマパークでもないこのような政治家講演イベントを日本で企画できるとしたら、ギャラを半分としてもあなたは誰をあげますか? 橋本、宮沢、細川、竹下、海部、中曽根さんまで元気な元首相は大勢いるが、お金を払っても来たい聴衆5000人を動員できて、ヤジが飛ばない条件をつければ・・
文化の違いで片付けてはならない現象ではなかろうか。 |